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大学通算わずか“2イニング”登板→ソフトバンク5位・大竹風雅 無欲な男は投手転向後「人が変わった」〈恩師が明かすポテンシャル〉

posted2021/10/20 11:03

 
大学通算わずか“2イニング”登板→ソフトバンク5位・大竹風雅 無欲な男は投手転向後「人が変わった」〈恩師が明かすポテンシャル〉<Number Web> photograph by KYODO

ソフトバンクからドラフト5位指名を受けた大竹風雅。大学時代の公式戦登板わずか「2回」の右腕は、プロで覚醒なるか?

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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 ドラフト会議では、毎年「隠し球」のようなサプライズ指名が話題に挙がる。

 上位指名、無名チーム出身、異色の球歴。「まさか」はそれぞれだが、ソフトバンクから5位で指名された東北福祉大・大竹風雅のケースだと、それは実績にあたる。

公式戦登板はわずか“2イニング”

 仙台六大学リーグ戦で1年生の2018年秋のリーグ戦で早くもデビューを飾り、1回14球、無安打、2奪三振、無失点。翌19年春のリーグ戦にも登板し、1回14球、1四球、無失点だった。

 しかしこれが、ドラフト指名時で大竹が残していた公式戦の「全成績」である。

 大学でほとんどキャリアを築けなかった大きな理由として、昨秋に右ひじのクリーニング手術を受けたこともある。それでも、プロ入りどころか、支配下で指名を受けたのは、最速150キロを計測する本格派右腕の大竹が、ソフトバンクからポテンシャルと将来性を見込まれたからだと言われている。

 福島・光南高校の監督、渋谷武史は吉報が届いた時、さほど驚きはしなかったという。

「プロ志望届を出していたことは知っていたし、福祉大の関係者の方からも『素材はいいから、指名される可能性はある』と聞いていたんで、もしかしたら、とは思っていました」

 素材はいい。

 それを最初に発掘したのが渋谷だった。

高校入学までピッチャー未経験

 大竹は地元中学の軟式野球部出身で、ポジションはセカンド。光南でもピッチャー志望ではなかったが、入学当時からキャッチボールやノックでの身のこなしを見れば見るほど、渋谷は「なんでセカンドなんてやっていたんだろう?」と、不思議だったという。

「ピッチャーをやるべきだ」

 それは直観ではなく、確信だった。

「肩やひじに柔軟性があってですね、出力をしっかり出せる投げ方で。当時から素質はピカイチでしたからね」

 その大竹が中学までピッチャー未経験だったのは、渋谷が言う「欲がない子」であったことも一因としてある。光南から育成指名で楽天に入団した同学年の松本京志郎は、「高校からプロに行く」と野心を前面に打ち出しプレーしていた一方、大竹は控えめで、表立って自己主張しないような選手だった。

 だから、渋谷がピッチャーへと導いた。

【次ページ】 控えめだった大竹の変貌

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