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ソダシに勝利したアカイトリノムスメと「国枝血統」の偉業とは? アパパネ、アーモンドアイで蓄えた“名牝のコツ”と黄金ローテ
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2021/10/18 11:53
10月17日の秋華賞にてソダシ、ユーバーレーベンらをおさえ一着に輝いたアカイトリノムスメと戸崎圭太騎手
戸崎「今日はアイドルホースがいましたが…」
「今日はアイドルホースの強い馬がいましたが、勝つことができてよかったです。直線では反応よく伸びてくれました。強い競馬でした」
そう話した戸崎が、アカイトリノムスメの実戦に騎乗したのは、この馬にとって重賞初勝利となった今年2月のクイーンカップ以来のことだった。
昨夏の新馬戦(7着)と、初勝利を挙げた10月の未勝利戦でも乗っていたのだが、11月の赤松賞と桜花賞は横山武史が乗って、それぞれ1着、4着。オークスではクリストフ・ルメールが騎乗して2着になっていた。
「今日の雰囲気を見て、今までよりもう一段上がったなという感じで返し馬からレースに行くことができました。この血統はきょうだい(全弟のモクレレ)に乗せてもらっていて結果を出せなかったので、GIを勝つことかできて嬉しいです」
結果を出せなかったというが、モクレレの全4勝のうち、3勝目の500万下を自身の手綱で勝たせている。
アパパネにアーモンドアイ…国枝調教師は勝ち方を“熟知”
この秋華賞は、金子真人オーナーが所有馬の血脈をつないできた白毛のソダシと、「マイネル軍団の総帥」として知られた故・岡田繁幸氏がつくり上げた牝系から出た漆黒のオークス馬ユーバーレーベンによる「白黒対決」で盛り上がっていた。しかし、勝ったのは「赤い鳥(=アパパネ)」の娘だった。
このアカイトリノムスメもソダシ同様「金子血統」の馬なのだが、2代母のソルティビッドも、母のアパパネも国枝調教師が管理していたので、「国枝血統」と言うこともできるのだ。
トライアルをあえて使わず、オークスからの直行ローテーションにしたのも、国枝調教師が、この牝系の力の引き出し方と、18年にもオークス以来となったアーモンドアイで制しているなど、秋華賞の勝ち方を熟知しているからだろう。同一調教師が管理した母仔による同一GI勝利は史上初の快挙だ。
また、1986年のメジロラモーヌをはじめ、6頭いる三冠牝馬の仔がGIを制したのも、これが初めて(メジロラモーヌの曾孫のグローリーヴェイズがGIを勝っているが)のことだった。
次走の候補としてエリザベス女王杯もジャパンカップも考えているようだが、オーナーと協議して決めていくとのことだった。