中学までが山梨・塩山で育った少年だから、「東北」というのはちょっと違う。そんなことを言う向きもあるようだが……あの荒れた日本海から吹きつけるきびしい風雪に2度もさらされながら、秋田の地でここまで大きくなったのだから、立派な「東北球児」だ。

　2年前、佐々木朗希を抽選で逸した楽天なら、ここは捲土重来、再度「東北」でいってほしい！と思ったら、よもやの単独指名とは！（※ひとりドラフト予想の後、10月9日にソフトバンクは風間球打［明桜高］の1位指名を明言した）

　楽天が、1位で風間球打（明桜高）を獲得した。

　岸孝之、銀次……元東北球児が登場すると、間違いなく拍手のボリュームがアップする楽天生命パーク。私もその端くれだが、東北人は地元意識が強い。待望の「東北の星」に育てよう。

　150キロ超えの数字ばかりが風間球打のスゴさとして伝わっているが、頭の上、猛烈な腕の振りから投げ下ろしてくる角度のすばらしさや、時としてスライダー、カーブ、フォークなど変化球だけの組み立てで打者を翻弄してしまうしたたかな投球センスも、併せて知っておいて欲しい彼の投手としての「才能」だ。

　元三塁手・茂木栄五郎、元二塁手の小深田大翔、山崎剛、元投手・村林一輝が大奮闘してきた「遊撃手」のポジションに、生粋のショートストップ・水野達稀（JR四国）を獲れたのも大きい。身体的に想像以上の負荷がかかるといわれるショートのポジションだけに、層は厚くしておきたい。

　走攻守に抜群の野球カンを持ち、社会人の大舞台で19歳の1年目から、人を驚かせるような活躍を毎年平然とやってのけてきた選手だけに、いつの間にか、スーッとレギュラーにおさまっている……そんな「絵」が見えるようだ。

　6年目のオコエ瑠偉がようやく目覚めかけた気配でも、「右打ちの外野手」はなお手薄なので、3位に吉野創士（昌平高）なのだが、よく残っていた。“広島2位指名”が心配だったが、内野手のほうにいってくれて助かった。

　木製バットで打つ練習時のバッティングのすばらしさを、他球団のスカウトがもっと見ていたら、結果は変わっていたはず。全身のしなりでヘッドがパーンと跳ねるスイングは、きっと浅村栄斗のそれが格好のお手本になるはずだ。

　2年生の頃のピッチングを見ていたら、4位・徳山壮磨（早稲田大）は消せない。肩の故障を繰り返しながら……ということらしいが、この秋は復調気配だ。140キロ後半の速球とフォークを低め、低めに集めるピッチング。岸孝之、涌井秀章……こちらもお手本には事欠かない。

　5位・福島蓮（八戸西高）、6位・飯田琉斗（横浜商科大）はスケールの大きな素材型。

　190cmあって、ショートをやらせたら抜群に上手いと高校の監督も驚く福島蓮。今の78kgがプロの食事とトレーニングで90kgぐらいに筋肉量が増えた時、150キロを投げられると見ている。

　すでに、好調時はリーグ戦でも150キロ台を連発する飯田琉斗は、実戦経験を積んでマウンドでセルフコントロールができるようになれば、落差の大きなフォークもあるから「守護神」の可能性すら隠し持っている。

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