その後は盛り返したが、青木とリーの差は1厘レベルのせめぎあいになっている。

　レロン・リーは1977（昭和52）年から1987（昭和62）年までロッテ・オリオンズで活躍した左打者だ。弟の右打者レオン・リー、三冠王・落合博満と組んだ打線は強力だった。本塁打王、打点王、首位打者、最多安打各1回の大打者だ。

青木と僅差の生涯打率2位であるレロン・リー　©Sankei Shimbun

リーは1985年に4000打数に達して若松勉を抜いて「通算首位打者」となり、青木に抜かれるまで33年間その座をキープしてきたのだ。

リーは今年、73歳。その生涯打率はもはや1毛1糸たりとも動かない。現役でバットを振る青木にとっては、不動のリーは現役のライバルよりもはるかに厳しい相手かもしれない。

優勝争いに絡むチームの主力として休むわけにはいかない

　ヤクルトの今季残り試合数は18もある。優勝争いをする打線に連なる打者として、青木は打率キープのために試合を休むような悠長なことはできない。2番を打つ青木は今後、90前後打席が回るはずだ。今季の青木は四球が少ないが、仮に80打数だとすれば、今季のシーズン終了時点で通算打率でリーを上回るには、19安打以上が必要になる。

1.青木宣親 .320119 / 5701打数 1825安打（.263）
2.リー .320024 / 4934打数 1579安打

　1毛以下のわずかなリードではある。実はリーだけでなく、青木と4位までの打者の差は極めて小さい。

1.青木宣親 .321295/ 5621打数 1806安打
2.リー.320024 / 4934打1579安
3.若松勉.319183 / 6808打2173安
4.張本勲.319160 / 9666打3085安

　青木が仮に80打数13安打に終わると、通算打率は.319067（5701打1819安）となって、一気に4位まで転落してしまう。

通算打率1位でなくなっても偉大な打者なのは確か

　率直に言って来年1月5日に40歳になる青木に、ここから.320を超える高打率を期待するのは酷な話だ。

　それに、たとえ通算打率が1位でなくなったとしても、青木宣親が偉大な打者であるという評価は、いささかも下がらない。

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