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「横綱相撲をとれた」スプリンターズSを制した3歳馬ピクシーナイトに福永祐一が抱いていた確信〈タイキシャトルに並ぶ記録も達成〉
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2021/10/04 11:30
10月3日の秋GI開幕戦となったスプリンターズSを制したのは、3歳馬のピクシーナイトと福永祐一だった
「タイキシャトルに並ぶ」記録とは?
モズスーパーフレアが単騎先頭のまま4コーナーを回った。2番手はビアンフェ、その内にピクシーナイト。外からレシステンシアが進出してきて、これら3頭をかわしにかかる。内を進むモズスーパーフレアが先頭のまま直線に向いた。ピクシーナイトはその直後につけていたのだが、ビアンフェに外から併せられ、進路がなくなるかに見えた。
しかし、ピクシーナイトはビアンファを外に張り出すようにして前には入れさせず、自らの進路を確保した。これができたのも、被せられる前にスッと伸びて並走に持ち込むだけの脚があったからだ。
ピクシーナイトは、ラスト200mを切ったところで内のモズスーパーフレアに並びかけ、一気に突き抜けた。
勝ちタイムは1分7秒1。2着のレシステンシアに2馬身差をつける完勝。馬場状態のいい内をずっと回ってきたことを差し引いても、強い競馬だった。
同馬にとって3勝目となったこれが初めてのGI勝利。キャリア8戦目でのスプリンターズステークス優勝は、1997年タイキシャトルに並ぶ最少タイだ。
父モーリスにとっても初のGIタイトルで、福永と音無調教師にとっては、初めてのスプリンターズステークス制覇となった。
「GIの舞台で横綱相撲をとれた」
新馬戦からずっと手綱をとってきた福永はこう話す。
「最終的にはこういう形でGIを勝てる馬にしたいという思いはずっとありましたが、こんなに早く、1200mのGIの舞台で横綱相撲を取れるようになるとは、本当に、こちらの想像を超えた走りをしてくれました」