情熱のセカンドキャリアBACK NUMBER
世界王者を4人育てた帝拳ジムの名トレーナー・葛西裕一は、なぜアマチュアの“ボディメイク”指導者に転身したのか
posted2021/10/01 06:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Yuki Suenaga
田園都市線の用賀駅を降りて徒歩2分、全面ガラス張りのオシャレな4階建てのビルが目を引く。夜になるとライトアップされ、ちょっとした町の名物となっている。従来あるボクシングジムのイメージからはだいぶかけ離れている。
ジムの名は「Cardio Boxing GLOVES」。
ここはプロボクサーを対象にしたボクシングジムではない。ボクシング、ボディメイク、シェイプアップ、健康増進とアマチュア会員のニーズに合わせたプログラムを中心に置くジムだ。「Cardio Boxing」とは照明、音楽を使って有酸素運動とボクシングを掛け合わせた内容で、看板プログラムになっている。
2008年度に「エディ・タウンゼント賞」を受賞
ジムを主宰しているのが元日本ジュニアフェザー(スーパーバンタム)級王者、元東洋太平洋同級王者の葛西裕一である。現役時代は3度の世界挑戦に失敗しながらも、所属する帝拳ボクシングジムのトレーナーに転身してからは4人の世界王者(西岡利晃、下田昭文、五十嵐俊幸、三浦隆司)を誕生させ、2008年度にはその年に顕著な功績を残したトレーナーに贈られる「エディ・タウンゼント賞」を受賞している。
名門・帝拳ジムの名トレーナーが独立してアマチュアを対象にしたジムをオープンさせたのが4年前の47歳のとき。オシャレ感、目新しい感、気軽感もあってか、オープンから程なくして300人超の会員を抱える人気ジムとなった。コロナ禍に直面している現在は休会から復帰していない会員も少なくなく、ダメージを受けてはいるものの、パーソナルトレーニングの人気もあって何とか経営は軌道に乗っているという。
葛西はなぜ50歳を手前にして“大勝負”に打って出たのか──。