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ロッテ投手陣の“頼れる兄貴”田中靖洋(34)はなぜ整理整頓にこだわる? 戦力外通告を経験したからわかる「幸せ」とは
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2021/11/29 11:02
2016年からロッテに加入した田中靖洋。中継ぎとして優勝を目指すチームを支えている
勝っている場面、負けている場面、緊急登板。様々な状況で出番はまわってくる。
3回にはブルペンで肩を作り始める。肩が出来るのに14球。1試合に3回、肩を作る時がある。ブルペンの電話がなり、「行けるか?」と問われると、ただ一言「ハイ!」と言って黙々と準備をしてマウンドに上がる。
マリーンズに移籍して6年目のシーズンは終わった。チームは前後期制、プレーオフを除くと51年ぶりのリーグ1位での優勝を目指し、最後まで戦った1年だった。その中で背番号「47」は、渋く、しかしチームにおいて他の誰にもできない大切な役割を担いながら存在感を示している。
「マリーンズに来て本当に幸せです」。田中はそう口にする。
そして「一度、クビになったからこそ、今の幸せを感じられるようになった。野球がやれる幸せを日々、感じながら、こうやってマウンドに上がれることに感謝です」と遠くを見る。
優勝という栄光の時は残念ながら来年に持ち越しとなった。来る2022年シーズン、歓喜の輪の中で、普段はこわもての男がどんな表情を見せるか。今から楽しみにしたい。