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ロッテ投手陣の“頼れる兄貴”田中靖洋(34)はなぜ整理整頓にこだわる? 戦力外通告を経験したからわかる「幸せ」とは
posted2021/11/29 11:02
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
後輩から「ヤスさん」と呼ばれ親しまれるのは、千葉ロッテマリーンズの田中靖洋投手だ。
石川県立加賀高校から2005年高校生ドラフト4巡目で埼玉西武ライオンズに入団。2015年シーズン限りでライオンズを戦力外となり退団した後、トライアウト、入団テストを経てマリーンズ入りを勝ち取った。今季は貴重な中継ぎ右腕として38試合に登板し、防御率4.54、10ホールドと、優勝争いを繰り広げたマリーンズを支えた。
縁の下の力持ち。その言葉がよく似合う投手である。
そんな田中を評価するのが、吉井理人投手コーチだ。
「シュートにスライダー。横の揺さぶりが出来る投手。特に右打者のインコースにシュートをしっかりと投げ込むことが出来る。ユーティリティーピッチャーで、どこでも投げてくれる。それはやっぱりポジション的には結構しんどいところだけど、そこをしっかりとやってくれるので助かるよね」
信頼を寄せているのはマウンドさばきだけではない。若い投手の多いマリーンズにあってプロ16年目、34歳のベテランの存在感は大きい。
「締めるところはキュッと締めてくれる。締まっていない雰囲気の時は『オイ!』とこわもての顔で短い言葉で言ってくれるからみんな締まる」(吉井コーチ)
西武時代に学んだ「整理整頓」
1歳年下の石川歩投手も、投手陣を引き締める役割を田中が実践していることを証言する。
「ちゃんとしていない時には誰に対しても、しっかりと言ってくれる人。当たり前の事とか、社会人としてのルールとか。普段は優しい人なだけに、そういう点をしっかりと見てくれて指摘していただけるのはありがたい」
それは練習姿勢であったり、基本的な挨拶や生活面の事であったりするのだろう。特に口酸っぱく言うのは整理整頓。ロッカーが汚い選手がいると指摘する。それは自身が若い時に聞いたメッセージが原点にある。