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ロッテ投手陣の“頼れる兄貴”田中靖洋(34)はなぜ整理整頓にこだわる? 戦力外通告を経験したからわかる「幸せ」とは
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2021/11/29 11:02
2016年からロッテに加入した田中靖洋。中継ぎとして優勝を目指すチームを支えている
若手投手たちにとっては優しき兄貴分だ。ブルペン投手を中心に様々な声掛けを行う。今季、セットアッパーとして大飛躍を果たしている佐々木千隼投手は言う。
「やりやすい雰囲気を作っていただいています。投げて失敗して落ち込んでいる時とか声を掛けてくれる。最初の印象はちょっと怖い人かなと。でも今は面白くて優しい人」
佐々木は今年、いつも試合前のキャッチボールを田中と行っていた。キャッチボールを行いながらのちょっとした会話から励まされたり安心をしたりする。
ベテランの領域に入ろうとしているマリーンズの絶対的守護神である益田直也投手にとっても背番号「47」は兄貴分だ。
「ボクもだいぶ年上になってきて、なかなか色々と言ってくれる人は少なくなってきている。ヤスさんは疲れている時とか心配をしてくれるし、打たれた時にケアをしてくれたりする」
打たれて落ち込む時の声掛けはなかなか難しい。そんな時、田中は周りに人があまりいないことを確認してから近づく。最初から多くを話さない。ちょっとした会話から始め、相手の出方をみて話し込む。「そういうところが凄いなあと思います。勉強になります」と益田は笑う。
「ナイスピッチング!」と励まされた東妻
急成長を見せている東妻勇輔投手も田中の言葉に助けられた選手の1人だ。
今季からツーシームに力を入れて取り組んだ。ツーシームでゴロを打たせて取るピッチングスタイルを目指してのことだ。ただ当初、ゴロを打たせて取ろうとした結果、野手の間を抜けてヒットになることもあった。そんなときに、励まされた。
「打たれたのは結果。やろうとしていること、その過程は間違っていないんじゃないかな」
それ以降も好投するたびに「ナイスピッチング!」と声をかけてくれた。