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ダルビッシュ「すごく責任を感じています」投手コーチ解任に主力の口論、下馬評高かったパドレスは“内紛”を乗り越えられるか
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byGetty Images
posted2021/09/24 11:06
7月以降は黒星が先行しているダルビッシュ。チームも8月以降は負け試合が増えている
同地区内に、ワールドシリーズ連覇、地区9連覇を目指す常勝ドジャースが控える一方、バドレスに対する期待値は極めて高かった。今や球界を代表する「顔」となったタティスJr.をはじめ、マチャド、エリック・ホズマーら錚々たる強打者を抱え、さらに今季球団初のノーヒットノーランを遂げた先発ジョー・マスグローブら強力投手陣を持つだけに、戦力としては十分に覇権争いの中心となるものと見込まれていた。
ところが、後半戦に入っても、なかなかエンジンがかからず、いつしか歯車は狂い始めていた。
8月下旬には、ラリー・ロスチャイルド投手コーチが解任された。ヤンキースの投手コーチ時代には、黒田博樹、田中将大(現楽天)らを指導し、移籍後のダルビッシュも全幅の信頼を寄せていた名伯楽だっただけに、ダルビッシュはしみじみと言った。
「すごくいい人でしたし、自分に気を遣っていろいろ優しくやってくれましたから。自分が過去2カ月、普通に投げられていればああいうことにはなってなかったと思うので、すごく責任を感じています」
最終戦まで続くギリギリの戦い
だが、わずかでも可能性が残されている限り、タオルを投げ込むわけにはいかない。最後の6試合は、敵地でのジャイアンツ、ドジャース戦。ワイルドカード争いはギリギリまでもつれ込む可能性が高い一方で、ダルビッシュは冷静に言葉を続けた。
「そういうことを考えずに、とにかく自分のルーティンをやって、切り替えて試合に臨む。それだけです」
このまま失速するのか、それとも最後の直線で差し返せるのか――。
勢いに乗れば、大型連勝できるだけの底力を持つだけに、パドレスのラストスパートを期待する声は少なくない。