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「どうしちゃったんだ」の声を超えて…飯伏幸太が棚橋戦で“涙の復活” 〈史上初G1クライマックス3連覇〉のカギを握るのは?
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2021/09/15 17:00
9月4日、誤嚥性肺炎から約2カ月ぶりに復帰となった飯伏幸太
「飯伏どうしちゃったんだ」という声
飯伏は昨年のG1連覇から、今年1月4日の内藤哲也からの2冠(IWGPヘビーとインターコンチネンタル)奪取、その翌日には、ジェイ・ホワイトの挑戦を退けた。
新しいベルトが作られ、「世界」が刻まれた名誉ある初代IWGP世界ヘビー級王となった時には、飯伏の時代を思わせた。新しい時代の顔は飯伏なんだ、と筆者は感じた。
だが、4月の初防衛戦でウィル・オスプレイに敗れたあたりから雲行きは怪しくなった。新型コロナウイルスの影響で5月の東京ドーム大会が7月にスライドし、王者だったオスプレイはいなくなった。
IWGP世界王座はその間に鷹木信悟に移動していて、7月の東京ドームで飯伏は鷹木に挑む予定だった。だが、飯伏は「誤嚥性肺炎」という全く予期しない疾患に襲われた。
「飯伏どうしちゃったんだ」というファンの声が重くのしかかってきたが、体が言うことを聞かなかった。
代役も復帰戦の相手も、棚橋が務めた
7月の東京ドームの代役は棚橋が務めた。そして、9月の復帰戦の相手にも棚橋は名乗りを上げてくれた。飯伏は「神」とあがめる棚橋の誘いを素直に受けた。いきなりのUS王座への挑戦になったが、飯伏はリングに上がった時から涙を流していた。
本人にとってはもっと複雑だったのかもしれないが、ファンが「必要としてくれている」という思いが、涙になって流れ出たのではないか。
それから2週間のブレイクがG1を戦う飯伏にとってどれくらい有効なものなのかはわからない。ただ、肺の疾患には時間が必要だ。普通の生活には戻れても、激しい運動となると体が悲鳴を上げる。G1が始まるころには、この間よりは良い状態になっているはずだが、体調がもとに戻るまでは長い試合は禁物だろう。
飯伏が闘うG1戦線でのキーカード
すべての試合に落とし穴は潜んでいるが、そんな状況を踏まえると以下の4試合が飯伏のキーカードになる。