藤井　やはり時間がなかなかなくて、点数の良い科目と悪い科目がわりとはっきり分かれていました。

丹羽　高校生になると、授業中に居眠りしていたり、全然関係ない本を読んでいたりという子がいますよね。藤井さんも授業を聞いているふりをして、将棋の盤面が頭のなかにあってつい考えてしまうことはなかったんですか？

藤井　いや、それはほとんどなかったです。ごくたまに、そういうこともありましたけれど。

丹羽　じゃあ学校へ行っている間は、中学生や高校生の藤井聡太君で、学校から離れると、棋士・藤井聡太になる。本当に切り替えてやっていたんですね。同級生には「藤井」と呼ばれていたんですか？

藤井　だいたい、そんな感じです。

学校がある日、将棋の研究は“～3時間半”

丹羽　国立だと、一部の私立校みたいに「出席日数が足りなくてもいいよ」というわけにはいかないから、対局で休んだりするとけっこうしんどいよね。平日に東京や大阪で対局があったりすると、学校が終わってから前の晩に入って、翌日対局して。そういう日は名古屋に帰ってきていたんですか？

藤井　時間次第で、新幹線があれば帰ってきていました。ただとくに東京だと、やはり帰れないことは多かったです。父が東京に単身赴任をしているので、けっこうそこに行って泊まっていました。

記念のマスコット「ペコちゃん」を贈られた藤井聡太新叡王　©Hirofumi Kamaya

丹羽　じゃあその日のうちに帰れなかったら、翌朝帰ってきて、学校に行くという感じだったんですか？

藤井　時間によります。全部ではないんですが、公欠にしていただいた対局もあったので、2日連続して休むこともありました。

丹羽　わりと理解はしてくれていたんですね。

藤井　そうですね。

丹羽　1日12時間くらい将棋の研究をするプロ棋士もいるんですってね。藤井さんはどれくらいやるんですか？

藤井　いや、さすがに12時間はしていないです。日によるんですけど、6～7時間くらいかなという気がします。学校のある日は、3時間から3時間半くらいでした。

丹羽　普通に学校へ行っていたのがすごいですね。友人とのたわいのない会話がストレス解消になったり、棋士としてプラスになっていた部分もあったんじゃないのかな。学校のある日の生活はどんな感じだったんですか？

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