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三冠獲得・藤井聡太が次に狙う「竜王戦」の歴史… 羽生善治19歳、渡辺明20歳が頂点に昇り詰めるまで《優勝賞金4400万円》
posted2021/09/14 17:20
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph by
日本将棋連盟
藤井三冠は2016年9月、14歳2カ月の最年少記録で四段に昇段した。加藤一二三・九段が持っていた14歳7カ月の同記録を62年ぶりに塗り替えた。
その後、竜王戦の主催者の読売新聞社の企画で、新旧の天才棋士同士として、加藤と藤井の対談が行われた。大先輩の加藤がリードする形で対談は進んだ。トップ棋士のエピソード、将棋の勉強法、対局での「勝負めし」、加藤が愛好するクラシック音楽など、話の内容は多岐にわたった。
加藤と藤井が公式戦で初対局した場合の話にも及んだ。
加藤は「手の内は企業秘密です。作戦は言えません」、一方の藤井は「自分は居飛車党なので、正攻法で教わりたいです」と語った。それは「矢倉」で戦うことを意味した。
加藤は現役時代、矢倉の将棋を最も得意にしていた。中原誠名人を4勝3敗で破って悲願の名人位を獲得した1982年の名人戦では、全局を矢倉で戦い抜いた。
“ひふみん”が驚いた藤井聡太14歳のデビュー戦
2016年12月。第30期竜王戦の6組ランキング戦で、76歳の最年長棋士の加藤九段と、14歳の最年少棋士の藤井四段の対局が本当に実現した。それは抽選による偶然か、または天の配剤なのか……。
いずれにしても、藤井の棋士デビュー戦はメディアに大きく注目された。対局場の将棋会館には多くの報道陣が詰めかけた。現在に至る「藤井フィーバー」の端緒となった。
加藤-藤井戦は矢倉の戦型になり、激闘の末に藤井が勝った。
加藤は「終盤の寄せが速いのには驚きました。素晴らしい才能の持ち主です」と局後に語り、藤井を絶賛した。藤井は「デビュー戦で加藤先生に教えてもらい、とても光栄です」と謙虚に語った。