ゴルフはグリーンに近づけば近づくほど、スコアメークにかかわる一打の重みが変わる。この先、パッティング、アプローチショットの技術で学ぶべきものが多いであろうことも理解している。

　だが、星野はいま、全選手が同じ条件下で打てる各ホールの第1打から、世界のトップとの違いを感じてやまない。東京五輪ゴルフ競技の始まりを告げる号砲にもなった、あのティショットから。

「ハンバーガーばっかり食え！」

　8月、五輪明けの国内男子ツアーは北海道で行われた。

　ドライビングレンジで練習しようとすると、先に隣の打席にいた南アフリカのショーン・ノリスが、星野を見つけるなりいたずらっぽく言った。

「お前はこれからアメリカに行くだろう。英語を話すんだ。もう、米を食うな。ハンバーガーばっかり食え！」

　本人の意思とは無関係に、周囲に期待があるのも分かる。海の向こうへの意識が薄れることはしばらくない。

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