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東京五輪とメジャーで味わった“非日常”と“差” 賞金ランク1位・星野陸也(25)の現在地…銀メダル稲見に「すごいな…って」
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by Sankei Shimbun
posted2021/09/07 11:00
前回王者として臨んだフジサンケイ・クラシック(9/2~5)では15位タイに終わった星野陸也。メジャー、そして東京五輪で何を得たのか
松山が銅メダル争いのプレーオフまで進み、女子でも米国に拠点を置く畑岡奈紗が惜敗と言える9位。そして星野同様、日本を主戦場にする稲見萌寧が金にも手が届くほどの活躍で、銀メダルを獲得した。
渋野日向子や笹生優花をはじめ、国内をメーンにプレーしている選手たちが、スポット参戦した先で立て続けに活躍する最近の日本女子ゴルフ界の状況からは、もはやそれも驚くことではないのかもしれない。厳しい見方をすれば、その意味で仮に星野がメダル争いをしていれば、うれしい“サプライズ”だったのだろう。
五輪に参加する直前に海外遠征に出向いていた彼は、女子の試合を自主隔離していた自宅のテレビで眺めた。
「すごいな……って。(稲見は)プレーオフで世界のトッププレーヤーに勝ってメダルを獲得して、本当にすごいなと思う」
結果的には4人の代表のなかでひとり、蚊帳の外にいる気分にもなった。
メジャーで痛感させられた「差」
現実を直視すると、焦燥感が募る。
二十歳でプロ入りし、いよいよ日本の期待を背負うようになった星野にとって刺激的だったのは今年、五輪よりも春から夏にかけて出場したメジャー3大会だったように思う。
「難しいセッティング、クラブが入っていかないほど太かったり、粘っこかったりする芝を経験した。どう対応すればいいのか考えさせられる」
全米プロと全英オープンで予選落ち。米国本土で予選会を通過し、本戦で26位の成績を残した全米オープンも、モンスターコースと対峙する周りとの差を痛感させられた。
「彼らのティショットは本当に曲がらない。飛ぶだけじゃないんです。全英でも、自分が『絶対に刻みだろう』と思うようなホールで、バンカーとバンカーのあいだにドライバーで打っていく。どんなコースでもそうやっている。だから例えば、ブルックス・ケプカだとかが(スポット参戦する日本での)ダンロップフェニックスに来て、パッと勝ったりすると思うんです」