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「それでも、スタートしたのは…」ハミルトンが“金儲け最優先”を痛烈批判 “雨中の強行”2周でレース成立のベルギーGP舞台裏
posted2021/09/02 11:02
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
8月29日日曜日の朝、サーキットへ車を走らせていたら、前方を走っていた別の車が停車し、ポンチョを着て歩く親子連れ2人を乗せて行った。いつ雨が降るかわからない大自然の中にあるスパでは、観戦に駆けつけるファンも筋金入りだが、それ以上にファン同士が強い絆で結ばれている。
朝から降り続いた雨はサポートレースが始まっても止むことはなかった。スパにしては珍しい長雨だ。降りしきる雨の中、それでもFIA−F3とポルシェ・スーパーカップの両レースは予定通りスタートし、無事に終了した。
だが、F1は予定時刻の午後3時になっても開始されず、25分延期された後、セーフティカー先導でフォーメーションラップが行われた。しかし、コースコンディションは非常に悪く、午後3時30分に赤旗が出され、全車がピットレーンに戻ることとなった。フォーメーションラップは開始されたが、スタートは切られていないので、この段階でレースは成立していなかった。
その後も雨脚は弱まることはなく、2時間半以上が経過した後、午後6時すぎに「午後6時17分にセーフティカー先導のまま、レースをスタートする」という発表が行われた。
わずか2周でレース成立
すでにフォーメーションラップは消化しているため、今度はピットレーンから本コースに出た瞬間にレースがスタートすることになる。こうして今年のベルギーGPは午後6時17分にスタートが切られたが、それはセーフティカー先導であり、オーバーテイクが許されていない状況。見ている者にとっては、フォーメーションラップと何も変わらない限定的なレースだった。
さらに、そのレースもセーフティカー先導のまま、わずか2周で再び赤旗が出され、3周目に全車隊列をなしてピットインしてしまった。そして、午後6時44分に国際自動車連盟(FIA)は天候の回復が見込めないとして「レースは再開しないこと」を決定。予選トップのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がそのままトップチェッカーを受け、ベルギーGPは閉幕した。
サポートレースは行われたのに、なぜF1はできなかったのか。15番手を走行していた角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は次のように説明する。