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忘れられない2年前の悪夢…青森山田10番・松木玖生が静岡学園との再戦で誓ったこと「あんな思いは二度としたくない」 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2021/08/26 17:02

忘れられない2年前の悪夢…青森山田10番・松木玖生が静岡学園との再戦で誓ったこと「あんな思いは二度としたくない」<Number Web> photograph by Takahito Ando

2019年度選手権決勝の再現となったインターハイ準決勝。あの時の悔しさを胸にピッチに立った青森山田・松木玖生(3年)の存在感は群を抜いていた

 そんな松木の想いはチームメイトに伝播する。今大会、2試合連続8得点など無類の強さで勝ち上がってきた青森山田は、この試合でも立ち上がりからボールを動かしながら、静岡学園に対して全速力のプレスを仕掛け続けた。攻撃の起点となっていた両サイドバックや最終ラインに自由を与えず、チャレンジ&カバーを繰り返した。松木もボランチの位置でセカンドボールを回収し、コンビを組む宇野禅斗とともに2次、3次攻撃につなげていく。

 試合は早速、動いた。

 前半14分、右サイドを突破したMF藤森颯太のクロスを松木がダイレクトで蹴り込んで先制に成功。それでも気を緩めない青森山田は、「僕と禅斗でもう一度攻守を引き締め直そうとした」(松木)とプレス強度を上げ、35分には松木が起点となって名須川の追加点が生まれた。

「(一昨年度の)選手権の時も前半は2-0だったので、少し重なった部分もあった。でも仲間の顔を見ても気持ちが入っていたし、いけると思った」

 頼れる10番の言葉どおり、青森山田の“圧”は前半以上に力強さを増していく。

 守備では自陣ゴール前までボールを運ばせず、逆に後半39分には松木が自ら得た右FKを自慢の左足でゴールに叩き込んだ。後半アディショナルタイムにも1点を追加した青森山田は、4-0と大差をつけてインターハイ決勝に駒を進めた。

 試合後、松木は充実した表情を見せた。

「もう出し切りました。仲間も気持ちが入っていて、全員で手にした勝利だと思います」

 攻撃サッカーを掲げる静岡学園を前後半シュートゼロに抑え込み、一方、奪ったゴールは4得点。青森山田・黒田剛監督も「100点満点のゲームだった」と振り返ったように、まさに完勝だった。

「清々しい」

 冒頭の川口監督の言葉の意味も少しはご理解いただけただろうか。川口監督は続ける。

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