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「納得してもらえることは、まずない。ただ…」巨人・中田翔が問われる“姿勢”…松井秀喜が“野球賭博から復帰”の選手に送った言葉とは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2021/08/23 11:30
巨人移籍2試合目に早くもホームランを放った中田翔
「ホームランももちろんそうですし、色々な意味で忘れられない1日になると思います」
まさに中田にとっては、今後も決して忘れてはいけない1日となったはずである。
トレードが時期尚早だったことは否めない
賛否が渦巻いた巨人へのトレード。
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どう考えても時期尚早だったことは否めない。
中田がチームメイトへの暴行事件を起こし、自宅謹慎を命じられたのが8月4日。チーム内での調査などを経て、日本ハム球団から無期限の一、二軍全試合への出場停止処分がくだされたのが11日だった。そこから10日も経たずにトレードが発表され、処分はわずか9日で解除されることになった。
その間の16日には日本ハムの栗山英樹監督から巨人の原辰徳監督に中田の再起を手助けしてもらえないか、という相談の電話があり、それに応える形で原監督が受け入れを了承した。同時に日本ハムは球団としても吉村浩GMから巨人の大塚淳弘副代表にもトレードを打診する連絡があったという。
本来なら今季終了まで日本ハムで出場停止処分を継続すべき
本来ならば今季終了まで日本ハムで出場停止処分を継続し、その後に他球団への移籍を進めるというのが、事件の性質などを考えれば妥当な線だったはずだ。しかし日本ハムは球団、監督ぐるみで自分たちで決めた処分をなし崩しにして、中田の放出を画策し実現させたということになる。
もちろん巨人にも断るという選択肢はあったかもしれない。
ただ、古くから親交があり、指導者としても高く評価していた栗山監督から、直接、中田再生を依頼され、それに応えたいという原監督の思いは解らなくはない。球団としても期待していたジャスティン・スモーク内野手の退団などもあり一塁のレギュラーが固定できない編成上の問題もある。中田がもし使えるのであれば、戦力的にも獲得する価値はあるという判断だったということだろう。