プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ベルギーの大砲がクラブ史上最高額の146億円でチェルシーに帰還 10年前の「ネクスト・ドログバ」から「元祖ルカク」への期待
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2021/08/22 17:01
世界最高峰のストライカーに成長を遂げたルカクが満を持してチェルシーに復帰。新たなエースとして期待される
ボールを奪うためのプレスにしても、マイボールでの攻撃にしても、現監督が志向するインテンシティの高いサッカーは、既存の攻撃陣はもとより今夏の新CFにも適していると考えられる。
8月18日の入団会見でルカク自身が「システムも馴染みがあるし」と言っていたように、昨季後半からのトゥヘル体制では、アントニ・コンテが監督だったインテル時代と同様の3バックが基本となっている。
前線にはポストプレーでタメを作る能力も求めていたトゥヘルが据え置きで3-4-2-1を採用するのであれば、ルカクの1トップは、クロスに定評のあるリース・ジェイムズやベン・チルウェルらのウィングバック陣にとって好都合。190cm、90kgという巨大なターゲットマン出現を意味する。
同時に、相手選手を吊り出しながらアウトサイドに流れる動きも多いルカクの背後で、メイソン・マウント、カイ・ハバーツ、クリスティアン・プリシッチ、ハキム・ツィエク、そしてベルナーといった2シャドーの構成員候補たちが、スペースという恩恵を受けることも想像に難くない。
ベルナーの本領発揮という相乗効果が伴う可能性も
また戦術面の柔軟性を持つ指揮官が前線を2トップにするのであれば、チームの陣形はインテルでコンテが採用した3-5-2そのものだ。ラウタロ・マルティネスとのコンビが冴えたルカクにとってはもちろん、チェルシーでパートナーを務めさせたいベルナーも歓迎のシステムと思われる。
移籍2年目のドイツ代表FWには、ルカク加入で1トップの控えに回るとの見方がある。だが指揮官は、裏を狙い続ける姿勢や献身的ランなど、得点数だけでは測れないベルナーの貢献度を認めている。当人も、ルカク加入に対してポジティブだ。
『スカイスポーツ』のインタビューに「ライプツィヒでもフィジカルのあるストライカーとのコンビはやりやすかった」と答え、得点を重ねてプレミアへの切符を手にした古巣でのパフォーマンスに触れていた。実際のところルカクは、昨季のセリエAで10アシスト。リーグ戦で自己最多となる数字で、チャンスメイク能力の高さも示している。