松岡：あのー、ちょっといいですか。僕、ふと思ったんですけど、さきほどのお話では、彩野さんは怪我が多くて本格的な競技を諦めたということでした。視力が落ちて水泳を諦めた訳ではないんですか？

辻内：いえ、本当に怪我が多くて諦めた感じでした。

松岡：えーっ。自分の道が変わった原因は弱視じゃなく怪我の方だったなんて。僕にとって、それが一番劇的です！

進行性の難病「黄斑ジストロフィー」

松岡：大学に入ってから視力はどうなっていったのでしょうか？

辻内：大学に入ると広い教室でスクリーンや教科書、レジュメを見たりするから、また新たに眼鏡を作りに行ったんです。そうしたら「視力が安定していないので、病院へ行って検査して処方箋をもらって来て下さい」と初めて言われて、これはただごとではないんじゃないかと。それで、それまで診てもらっていた病院とは別の病院で検査してもらったら、「黄斑ジストロフィー」という視力低下や視野異常を引き起こす難病じゃないかと言われて。今度は国立病院へ行って精密検査を受けたら、やはり黄斑ジストロフィーだと確定診断されました。


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松岡：どんな気持ちでしたか？

辻内：それまではワケも分からず視力が下がって、そっちの方が不安だったので、原因が分かって「良かったなー」って。進行性だとも聞きましたけど、それも思い当たることだったので「そうなんだ～」という感じでした。

松岡：「良かったなー」って？　「そうなんだ～」って？

辻内：だって原因が分かったんですよ。今までは近視と言われていたけど、近視にしては症状が進むのが早いし、何なんだろうと思っていたから。

松岡：治す方法はないんですか？

辻内：現時点では薬も無ければ、治す方法もない。経過観察していくしかないという状況です。

松岡：辛いことをお聞きしますが、進行している自覚はあるんでしょうか？

辻内：ありますね。ここ1、2年でも結構見え方が変わっているので。

松岡：どこまで進行するんですか？

辻内：黄斑ジストロフィーにはいろんなタイプがあって、私の場合は全盲にはならないけど、それに近い状態までは視力が落ちるんじゃないかと言われています。

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