すぐに入厩させると思惑通り新馬勝ち。4戦目のくるみ賞では東京競馬場の芝1400メートルを1分21秒4というレコードタイム（2歳）で快勝。直後に挑んだ朝日杯フューチュリティS（GⅠ）は4着に惜敗したものの、けれんみの無いスピードで先行し、見せ場を披露した。

　ただ、そのスピードがもろ刃の剣だった。短距離戦でも掛かるほどの勢いがあったので、3歳時はクラシック戦線には向かわず、1400メートル戦を中心にした路線を進んだ。古馬になった13年にはダービー卿CT（GIII）を優勝。これがトウケイヘイローにとっては勿論、開業5年目の清水久詞厩舎にとっても初の重賞制覇となった。

「少し差があった（クビ差）ので勝ったとは思ったけど、早目に抜け出した後、2着馬に迫られたので、確定するまではドキドキしていました。重賞はいずれ勝ちたいという想いがありました。開業5年目での勝利は、思ったより早く達成出来たと感じました。この後は、勢いに乗ってGⅠを目指そうと……。安田記念を目標に考えました」

香港カップでは2着に好走した（一番左がトウケイヘイロー）

安田記念を“除外”されたおかげで…武豊との出会い

　こうして前哨戦の京王杯SC（GII、東京競馬場、芝1400メートル）に出走したのだが、ここはダイワマッジョーレの8着に敗れてしまう。そして、これが一つの誤算を呼び、トウケイヘイローの馬生を思わぬ方向へと転換させる事になった。

「直近の重賞を勝っていたので安田記念には出られると思っていたのですが、除外になってしまいました」

　仕方なく1週後の準オープンに使おうかと考えた。しかし、安田記念を目標に仕上げていたため、同じ週の鳴尾記念にも登録することに。すると……。

「レース2日前の段階で、鳴尾記念なら除外されずに使えるし、豊さんが乗れる事が分かりました」

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