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「馬に乗ることが好きだからね」JRA“最年長”重賞制覇の柴田善臣(55)はなぜ勝ち続けられるのか? <蛯名正義との凱旋門賞秘話も>
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byTomohiko Hayashi
posted2021/08/11 11:00
2000年の高松宮杯を制したキングヘイローと柴田善臣騎手
「長いことジョッキーをやっているな、って感慨深い」
このあたりから徐々に全国区の活躍を見せ始めると、成績も確実に右肩上がり。当然、大舞台での活躍も比例して増えていった。93年にはヤマニンゼファーを駆って安田記念(GⅠ)を優勝。自身初のGⅠ制覇を飾ると、同馬とのコンビでは天皇賞(秋)(GⅠ)も優勝。96年にはタイキフォーチュンでNHKマイルC(GⅠ)制覇。翌97年には自身初となる年間100勝を記録。その後もオフサイドトラップによる天皇賞(秋)(GⅠ、98年)、キングヘイローによる高松宮記念(GⅠ、00年)、レインボーダリアでのエリザベス女王杯(GⅠ、12年)にジャスタウェイでの安田記念(GⅠ、14年)と次々とGⅠを制覇した。
とくにジャスタウェイでの優勝は本来の主戦である福永祐一騎手が騎乗停止となり、代打で回って来てのホームラン。立場的に1番人気というのは大きなプレッシャーにもなったと思うが、レース後、あっさりと次のように語った。
「ドバイで勝つくらいの馬だし、以前にも乗った事があるので、リズム良くさえ走れればそれなりの結果が出ると思っていました。パドックや返し馬で、前に乗った時よりも落ち着いているのが分かったので、これなら大丈夫かな、と思って騎乗しました」
ちなみにジャスタウェイがハーツクライ産駒である事は有名だが、そのハーツクライの母はアイリッシュダンス。現役時代は柴田善騎手を背に新潟記念(GIII)を勝った牝馬だった。
「お父さんのお母さんに乗っていたんだからね。自分も長いことジョッキーをやっているな、って感慨深いモノがありますね」
当時、そんな事も語っていたが、そのジャスタウェイの安田記念制覇から7年経った今、また重賞を勝利するのだから大ベテランは健在である。