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東京五輪でも“ミスターゼロ”に? “無失点男”岡島秀樹が評価する平良海馬の「ブレない軸」《侍ジャパン》
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byYuichiro Izawa/JMPA
posted2021/07/30 11:06
初戦ドミニカ共和国戦ではいきなりピンチの場面を託された平良海馬。東京五輪では出番が多くなりそうだ
「平良投手も僕と同じように割り切れる性格なのではないかと感じます。僕はよく周りの人から『ワールドシリーズのような場所で投げるときに緊張したり、プレッシャーを感じたりしないのですか?』と聞かれます。
抑えて当たり前、抑えられなければ批判される場面でずっと投げてきたので、そういった緊張感には慣れていますし、万が一打たれても『相手の力が上だった』と切り替えて次の試合に臨める性格なんです」
そういえば一軍デビューを果たしたころ、平良にインタビューをした際に「どの場面が最も緊張したか?」と質問すると「(試合後の)ヒーローインタビューです」と答えたことがあった。先輩の今井達也も「緊張しているところを見たことがない」と話すなど、その度胸の良さについては岡島氏の分析通りと言えるだろう。
「平良投手も、しびれるような場面で投げるようになるまでの過程で、すでにいろいろな緊張とかプレッシャーをクリアして来ているはず。だから、オリンピックのような大会でも心配することはないでしょう。数々の、大変な場面を経験して、練習を積んで今、あの場所に立っているんですからね」
将来はメジャー?岡島氏の評価は…
そして、平良の実力を「日本で終わるだけの逸材ではない」と断言する。
「もちろんオリンピックでも注目されると思いますし、そこで良いピッチングをすれば評価もぐっと上がる。国際舞台で通用すれば、それもまた彼の自信になるでしょう。期待しています」
160キロの速球に加え、キレのあるカットボールやチェンジアップは「初対戦では対応できない」と他チームの打者からも高く評価されている。普段からクイックモーションで投球するため、ランナーを置いた場面でも球威が変わらない。その日の状態を見極めて勝負球を変える、プレートの踏む位置を変えるなど、リアルタイムで自身のピッチングを修正できる対応力の高さも、オリンピックのような短期決戦に向いているといえよう。
初戦はサヨナラ勝ちを収めた侍ジャパン。無失点神話をオリンピックの舞台でも見ることができるのか、その右腕に注目していきたい。
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