「セ・リーグはけっこう話題になっていたんですけど、パ・リーグは当時、全然騒がれていなかったんですよ。だから達成した日、記録を更新したというアナウンスもセレモニーも特になくて、僕も試合後に新聞記者さんから『岡島さん、記録更新しましたよ』と言われて知りました。ですから、あまり実感がない感じでしたね。平良投手の場合は話題にもなっていましたし、いずれ僕の記録は抜かれると思っていましたから、むしろ登板を楽しみに、応援しながら試合を見ていました」

ソフトバンク時代の岡島氏　©KYODO

　巨人在籍時に先発からクローザーへと転向した岡島氏は、ボストン・レッドソックスでも勝った場面での中継ぎとしてチームに貢献。日本人投手として初めてワールドシリーズにも登板するなど、世界最高峰で戦ってきた投手の一人だ。

　現在はメジャーリーグを中心に解説者を務めているが、そんな岡島氏から見ても平良の能力は突出していると語る。

「昨年、一軍で登板しているときから注目していました。いわゆるパワー系の投手ですが、ストレートが速い上に、変化球の切れも素晴らしい。打者はタイミングを取りづらいだろうなと初見で思いましたね。そして身長は高くないけど、タフですよね。バネといいますか、持って生まれた体の強さがある。今、21歳と若いですから、もっともっと伸びると思いますね」

平良との共通点は？

　投手としてのタイプは違うものの、平良投手と岡島氏の共通点がもしあるとすればどんなところだろうか。

「プロは結果がすべての世界じゃないですか。自分がコレと決めたことは貫く強さは必要です。人の意見に耳を傾けることも大事だけれど、軸がしっかりしていないとブレてしまいますから。一本筋が通っていて、自分にとってこれは必要で、これは不要だという判断ができる選手なのではないかと、平良投手のピッチングを見ていると感じますね」

　岡島氏は巨人に入団したばかりのころ、捕手を見て投げない“ノールック投法”を見た周囲の関係者から幾度も「フォームを修正したほうがいい」と助言された。しかし「自分はこのフォームで甲子園に出場し、ドラフト指名をされたのになぜ変える必要があるのか」と疑問に思い、決して首を縦に振らなかった。

　一方、平良は2019年のオフにはライオンズの優勝旅行と成人式よりも自主トレーニングを優先。単身、アメリカに渡り、現地の菊池雄星（シアトル）とともに汗を流した。

　当時はまだチームに浸透していなかった、回転数などを測定するマシンを自費で購入し、春季キャンプにも持参。自分で決断したことを貫く意思の強さが垣間見える逸話だ。そういった“頑なさ”もプロには必要だと岡島氏は明言する。

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