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「これだよ、これ!」高橋藍がつなぎ、石川祐希が決める…狩野舞子が“ワクワクした”男子代表の戦い、残り2戦で必要なものは? 

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狩野舞子

狩野舞子Maiko Kano

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photograph byAFP/AFLO

posted2021/07/29 11:05

「これだよ、これ!」高橋藍がつなぎ、石川祐希が決める…狩野舞子が“ワクワクした”男子代表の戦い、残り2戦で必要なものは?<Number Web> photograph by AFP/AFLO

強豪イタリアに敗れるも、見事な連係を見せるバレーボール男子代表。残り2戦、決勝トーナメント進出を懸けた戦いが始まる

 残すは2戦、相手はポーランドとイランです。どちらも強豪というだけでは収まらず、とんでもなく強い、ものすごい強豪です。ポーランドはイランに敗れ、イランもカナダに負けているので、日本も含めたグループAは大混戦。決勝トーナメント進出に向けて1つも負けられないし、1セットも落としたくない。本気がぶつかり合うオリンピックの中でも、まさに熾烈な、超本気の戦いが始まります。

 では、そんな超強豪のチームに勝つために、日本はどうしたらいいか。

 まず大前提はサーブで攻めること。ビッグサーバーである石川選手、西田選手のようにサーブで直接得点を取れる選手は徹底して攻め続け、小野寺選手や山内選手、関田選手のように強弱をつけて打ち分ける選手はより効果的に攻めるべきところを攻める。このバランスが噛み合えば、日本にチャンスはあるはず。とにかく先手必勝です。

 石川選手、西田選手の攻撃、そこに高橋選手も含めたバックアタックは効果的に決まっていますし、攻撃を引き立てるリベロの山本智大選手のレシーブも素晴らしい。そしてこの3戦、途中出場した清水邦広選手、藤井直伸選手、李博選手、高梨健太選手もそれぞれの役割を果たしています。今の男子代表はとにかく見ていて楽しいし、ワクワクして、もっと見たい。そう思わせてくれるチームです。

サーブ、スパイクの裏にある緻密な戦術

 世界と渡り合える力をつけてきた日本が、決勝トーナメント進出をかけ、本気のポーランド、イランとどんな風にぶつかるのか。サーブはどこを狙い、どんな作戦で、どの攻撃、どの選手を潰そうとしているのか。

 男子バレーは女子に比べるとラリーが続かず面白くない、と言う方も多いですが、細かな戦術と役割分担がなされており、むしろ1本のサーブ、スパイクの背景に緻密な戦術の攻防があります。互いがバチバチとぶつかり合うからこそ生まれるラリーが見所です。

 簡単に決まっているように見えるサーブやスパイクにも、実は「なぜここに打つか」という狙いがあり、裏を返せば会心の1本をレシーブされれば世界のトッププレーヤーも「何で拾われた?」と驚きが表情に出る。

 世界のトップ12チームで争うオリンピックはまさにバレーボールの醍醐味を感じられる戦いばかり。結果はもちろんですが、勝負を決めるポイントになるプレーがなぜ生まれるか、その背景まで見てもらえるとより面白い。

 残り2戦、私も勝負が決するポイントを見つけるのが今から楽しみです。強い「個」が揃った日本代表に、大いに期待してください。

(構成/田中夕子)

※狩野舞子氏による五輪プレビュー記事を見る!(NumberWeb以外でご覧の方は下段の関連コラムより)

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