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「これだよ、これ!」高橋藍がつなぎ、石川祐希が決める…狩野舞子が“ワクワクした”男子代表の戦い、残り2戦で必要なものは?
text by
狩野舞子Maiko Kano
photograph byAFP/AFLO
posted2021/07/29 11:05
強豪イタリアに敗れるも、見事な連係を見せるバレーボール男子代表。残り2戦、決勝トーナメント進出を懸けた戦いが始まる
バレーボールは相手より多く得点を取らなければ勝つことができません。そのためには、どれだけ攻めることができるかに尽きます。現役時代の木村沙織さんもそうでしたが、自分の前に上がって来たボールはどんな形でも絶対に打つ。しかも、できるだけ相手の嫌なところ、打ちきれる状況なら思いきり打ち抜くことができる選手の存在はチームにとって本当に大きい。
この場面では石川選手でしたが、西田選手も苦しい状況からただ返すだけでなく、とにかく打って、攻めることを忘れない。相手にとっては最後まで何をしてくるかわからない選手が多ければ多いほど脅威になるのは間違いない。やはり、攻撃は正義です。
そしてどんな相手にもひるまず、最後まで攻め、大事な1本が決まったら吼える。石川選手や西田選手だけでなく、あまり感情を表に出す印象のない山内選手までもが感情を露わにする姿がとても印象的です。オリンピックがどれほどの大会か、選手たちの表情を見ているだけでも十分に伝わってきました。
イタリアはメダルを狙うチームだった
1、2戦を気持ちよく勝利した日本代表は、第3戦に強豪イタリアを迎えました。ここまでポーランドに敗れるなど、イタリアは決して本調子ではない。正直に言うと「今の日本代表ならば勝てるんじゃないか」と思っていました。ですが、オリンピックはそれほど甘いものではない。ましてや追い込まれた“世界の強豪”の盛り返す力はハンパじゃなかった。
スパイカーとブロッカーが1対1になったら確実に仕留める。日本がサーブで揺さぶっても何度も立て直す。そして最後の最後まで攻めてくる。日本のサイドのトスが少し短くなったり、決め急いでしまったことでブロックされる本数が増えたことも敗因ですが、その状況に持ち込むイタリアの強さはさすがのひと言。
これまでの2戦とは大きく異なり、イタリアはやはりメダルを狙うチームでした。そしてこの試合でも目立っていたのが、19歳のアレサンドロ・ミケレット選手。彼はやばい(笑)。日本にも高橋選手や大塚達宣選手がいますが、世界にもミケレット選手のように若くてすごい選手がたくさんいる。これからはこんなすごい選手たちと渡り合っていかなければいけないのか……高橋選手や大塚選手、そして同世代の西田選手にとってもいい刺激、経験になったのではないでしょうか。