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中西哲生が解説する“メキシコ戦の明暗” 久保建英ゴールは「世界的にもハイクオリティ」だけど…〈フランスの攻略法とは?〉
posted2021/07/27 17:04
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
日本が難敵を退けた。
7月25日に行なわれた東京五輪のメキシコ戦で、森保一監督率いる日本は2対1の勝利をつかんだ。前半の立ち上がり早々に久保建英が先制点を蹴り込み、11分には堂安律がPKを決めて2点差とした。
その後の試合運びには、課題が見えたかもしれない。終盤には直接FKから失点し、2対1で辛くも逃げ切った。
2連勝という申し分のない結果を残しつつ、課題も見えた戦いぶりを、お馴染みの中西哲生氏に解説してもらおう。
◆◆◆
メキシコ戦の日本は、キックオフ直後にいきなりヒヤリとさせられました。右サイドからペナルティエリア内へ侵入され、決定的と言っていいシーンを作られたのでした。
失点には至らなかったものの、難しい試合の入りになったと感じました。選手たちは肝を冷やしたでしょう。プレーに慎重さが強く出てもおかしくなかったはずですが、精神的に怯むことはなく、それどころか先制点を奪った。
“ハイクオリティな連係プレー”が生み出した先制ゴール
6分の得点シーンは、3人のクオリティが結びついたものでした。右サイドバックの酒井宏樹から堂安律への縦パスは、パススピードとコースが絶妙であり、最終的にブレーキがかかっていました。それによって堂安は、ボールに追いつくために無理やり加速することなく、減速をすることもなく、クロスを供給することができたのです。
堂安のプレーもハイクオリティでした。内側のレーンから左サイドバックの背後へランニングをして、利き足ではない右足でペナルティエリア内のフリーのスペースへクロスを通した。ボールスピードも文句なしでした。
ペナルティエリアスポットのあたりでフィニッシュした久保建英は、左サイドのハーフスペースから全力で走り込んでいました。そのうえでしっかりと左足アウトサイドでインパクトしているのですが、シュートを軽く浮かしています。これはもう感覚的なものでしょうが、芝生の影響を受けずにより早くゴールへ到達するためだったのでしょう。
ボールには関与していませんが、林大地のフリーランニングも効果的でした。彼がゴール正面からファーサイドの深い位置へ逃げることで、CBのひとりを引き連れていくことになり、ゴール正面のスペースがオープンになったのです。
右サイドの酒井と堂安、それに久保を加えたユニットは、グローバル的に見てもクオリティが高い。日本のストロングポイントになっています。