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“全治6~8カ月で今季絶望”の大ケガをグランパス丸山祐市が語る「プラスに捉えようとはしていますが、明日には逆にガクンと…」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKaz Photography Getty Images
posted2021/07/24 17:00
5月15日の試合で、全治6~8カ月の大ケガを負った丸山
気がつけば丸山もチームも開き直っていた
「あのツイッターは9割嬉しかったですけど、1割は申し訳ない気持ちになってしまうところがありましたね。最初のホームの試合はフロンターレが気持ちを凄く入れてきて、それを受けてしまった感があります。(2試合目は)セットプレーで先制されて、苦しい展開になった。結局2試合とも思い切りやられたから、終わったことはしょうがないって、無理やりでも切り替えられた。次のセレッソ戦に向かっていこうってなりましたから」
気がつけば丸山もチームも開き直っていた。
ホームに戻って中3日のセレッソ大阪戦では、しれっとウノゼロを復活させる。最終ラインから声を張り上げて的確にコーチングしていたのが、キャプテンマークを巻いた背番号「3」であった。
何だろう、ガシッとまとめる感じまではしないが、緩やかにべクトルは同じというような空気感。その中心に、丸山祐市がいるのだ
「僕についてこいっていうのは、向いてないですよ。カッコ良くはまとめられないけど、なるべく一つになれるようにできればいいとは思っています」
何もしていないと言うが、若手に自分の経験を伝えたりもしている。何をやるにも、さりげなく。コツコツと地道に植えつけてきたからこそ、丸山のマインドがチームのマインドと重なって見えてくるのかもしれない。
元気な姿を見せることが一番の恩返し
いつ復帰できるかは、まだ先の話。
左膝前十字靭帯損傷の大ケガから復帰を果たし、そして昨シーズン限りで引退した中村憲剛からSNSを通じて励ましのメッセージが届いたという。無論、中村のみならず、多くの人から、各方面から。一つひとつの言葉が、どれだけ自分の背中を押してくれていることか。
「今言えるとしたら、復帰してピッチに立って元気な姿を見せることが一番の恩返しだと思っています。日に日にちょっとずつ良くはなっていると信じて、トレーニングをやっていくしかない。息子と走れないのは、つらいですけど(笑)」
未来を切り開くための転機に。
力まなくていい。コツコツと地道にやっていくだけ。このときだからできることに目を向けていくだけ。
そうすればまばゆい光が自ずと見えてくることを、丸山祐市は分かっている。