三歩進んで、三歩近く下がってしまう日も

　丸山は言う。

「ケガをしているときだから自分にできること。カッコ良く言ったら“神様から与えられた（試練）”じゃないけど、何かの転機なんじゃないかって僕は思っているので。プラスに捉えようとはしていますが、明日明後日には逆にガクンと来ているのかもしれない」

　ガクンと落ちていない日がなかったら、こんなことは口にしていないはず。

　陽気に見せるが、三歩進んで二歩下がる日ばかりでなく、三歩近く下がってしまう日だってあるということ。

日本代表での丸山（2018ロシアW杯　アジア最終予選　タイ×日本）　©Takuya Sugiyama

　それでも進んでいかなくちゃいけない。プレー以外のところで成長できれば、進む歩幅を広げていける。

　今、彼は大きく2つのことに目を向けている。

　1つは、ピッチ外でのクラブへの貢献。スポンサーやファン、サポーターを対象にしたクラブの活動に「協力したい」とクラブ側に伝えている。ただそれは「客観的にいろんな角度から物ごとをいろいろと見る」ためだ。

「いいメンタルを持っていれば、周りにもいい影響を」

　もう1つが、メンタルについての勉強。習得して引退後のセカンドキャリアに活かしたいという考えもあるが、一番はチームへの還元である。

「いいメンタルを持っていれば、周りにもいい影響を与えて勝利に導けるようになるのかなと思っていますから。チームが一つになるといってもみんな個人事業主の（独立した）集まりなので、“同じベクトルにみんな向いている”と口では言っていても、なかなかなり切れないところもある。少しでもポジティブな声掛けで、チームにいい雰囲気をもたらすことができたら、ここぞってときにチームの勝敗を分けるのかなとも思うので」

　俺が俺がというタイプでもないが、チームのことを真っ先に考えるタイプでもなかった。だが移籍2シーズン目の2019年からキャプテンを務め、30代に入ってからはよりチームのことを考えるようになる自分がいた。

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