Number Web MoreBACK NUMBER
渡邊雄太と八村塁が“NBA”で競い合うという幸せ…出会いは6年前の日本代表合宿、変化する立場と関係性「やたらと生意気になった(笑)」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byUSA TODAY Sports/Reuters/AFLO
posted2021/07/16 21:00
2019年12月14日に実現した日本人対決。しかし、同じコートに立ったのはわずか1分9秒だった
「そのときから彼(八村)の才能というか、すごいところはたくさん見えていました。ただ、まだ高校生だったので、ここまですごい選手になれるとはわからなかったんですけれど。確か、その時点ではどこの大学に行くかは決まっていなかったんですけれど、アメリカに行くっていうのは決まっていた。だから、そのことについても色々話したりしました」(渡邊)
最初こそ、八村が渡邊に質問し、渡邊が八村にアドバイスを与えていたが、年月を経るにしたがい、その関係は少しずつ変化していった。同じようにNCAAで経験を重ね、NBA選手となり、さらには日本代表ではチームメイトとして力を合わせて戦う間に、同じ世界で戦い続ける同志として、親友として、そして時にはライバルとしてお互いを意識しながら、関係を深めていった。
「本当にすごく仲のいい友人ですし、コートに立つと、今、お互い、相手チームとして競争し合える、本当にいいライバルみたいな存在」と渡邊は語る。
「生意気になった」「すごい尊敬しています」
最初に出会ってから6年の年月がたち、高校生だった八村も、大学生だった渡邊も、それぞれ選手として成長し、NBAに入った。年齢や経験を重ね、大人になってきた。この6年の間に八村のどんなところに一番の変化を感じるかと、渡邊に聞いてみた。すると、渡邊は「僕にやたら生意気になったところですかね」と笑った。
「初めて会ったときはもうなんか、本当に僕のことをめちゃめちゃ尊敬しているんじゃないかぐらいの、キラキラした目で僕のことを見ていたような気がするんですけれど、今、なんなら僕のこと下に見ていると思うんで(笑)」
そう言いながらも、渡邊は嬉しそうだった。年上の渡邊に対しても、懐に飛び込んでいくような人懐っこいところは八村の持ち味だ。
渡邊のその言葉を伝えると、八村は苦笑しながら、「生意気……というか、もともと、僕、そういう感じなので。けっこうふざけるのが多い人なので。雄太さんは先輩としてすごい尊敬しています」と釈明していた。
このやり取りだけでも、2人の親密な関係がうかがえる。