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[NBAで学んだリーダー像]渡邊雄太「変革を呼ぶキャプテンシー」
posted2021/07/18 07:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
KYODO
一昨年のW杯、史上最強と謳われながら全敗で終えた大会は、チームを牽引する彼に新たな決意をもたらした。目標だったNBAの本契約を獲得し、飛躍のシーズンを過ごした新主将が、米国仕込みのリーダーシップで、代表の新たな歴史を切り拓く。
渡邊雄太は日本バスケットボール界変革の鍵となる選手だ――。
そう説くのは、4年前から日本代表ヘッドコーチを務めるフリオ・ラマスだ。今回の東京オリンピックで渡邊をキャプテンの1人に指名したラマスHCは、最初から彼のリーダーシップに大きな期待をかけていた。それも、単に試合中にチームを率いるだけでなく、日本代表の世界観を根底から変えるリーダーとしてだ。
日本代表ヘッドコーチに就任して約半年後の2017年12月、ラマスHCは渡邊や八村塁に会うためにアメリカを訪れていた。ミーティングを終え、帰途につく前に、アメリカで活動する2人に期待することを聞くと、「2人にはこの先、日本代表を変えていくようなリーダーシップを期待しています」というコメントが返ってきた。当時、2人はまだ大学生、フル代表の経験も少ない若者だったにもかかわらずだ。
「彼らがいることで、練習でもより高いレベルでプレーし、プロフェッショナルな姿勢で、みんながもっと競争するようになる。日本代表を根本から変えることができる選手たちだと思っています」
男子日本代表にとって、世界は常に目の前に高くそびえる難攻不落の山だ。現在の世界ランキングは42位で、オリンピック出場は実に45年ぶり。この数年で急成長を見せているとはいえ、2年前のFIBAワールドカップでは順位決定戦も含めて1勝もできなかった。それだけ困難な世界に立ち向かっていくには、前例のないことを成し遂げた渡邊や八村のような選手が必要だというのだ。