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賞金アップも厳しい制限に不満が続出…松山英樹を含む17名が欠場の全英オープン、注目は“渦中”のあの人?
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2021/07/15 06:01
メディアとのいざこざの中、ロイヤル・セントジョージズにやってきたデシャンボー(左)とミケルソン
そんな中、優勝候補のリストに目をやれば、その筆頭は、6月の全米オープンでメジャー初制覇を果たしたばかりのジョン・ラーム(スペイン)。2位は米国のザンダー・シャウフェレ、そしてジョーダン・スピース、ブルックス・ケプカと続いている。
だが、優勝候補ではなく注目度というアングルから眺めれば、その筆頭に上がるのは、間違いなくブライソン・デシャンボーだ。
肉体を強化し、飛距離をアップさせ、昨年の全米オープンを圧勝したデシャンボーだが、今年の全米オープンでは、最終日の前半に一時は単独首位に立ちながら後半は大きく崩れ、悔しい敗北を喫した。
その2週間後のロケット・モルゲージ・クラシックでは、開幕直前に相棒キャディのティム・タッカーと決別し、契約先であるコブラ・プーマのツアーレップが臨時キャディを務めるという緊急事態に陥った。
その挙句にディフェンディング・チャンピオンでありながら予選落ちとなり、米メディアを振り切って無言で去ったため、「プロとしての責任放棄だ」と激しく批判され、そんな確執を抱えたまま、彼はロイヤル・セントジョージズにやってきた。
「本は僕に何も教えてはくれない」
すでに新しい相棒キャディを付けている。デシャンボーのスイングコーチであるクリス・コモの右腕として知られ、デシャンボーのホームコースであるダラス・ナショナルのヘッド・インストラクターでもあるブライアン・ズィグラーが新たにチーム入りし、技術面のサポートは万全を期している。
デシャンボーがロイヤル・セントジョージズに足を踏み入れたのは、今回が初めてだが、ヤーデージブックやさまざまな情報は事前には一切見聞きせず、実際に五感で感じたフィーリングに従って、攻め方や戦い方を考えるという。
「本は僕に何も訴えかけては来ない。何も教えてはくれない」
だから、頼るべきは自身の感覚だと言うデシャンボーは「出たとこ勝負、感じるもの勝負」でロイヤル・セントジョージズに挑む心積りだ。
デシャンボーの全英オープン出場は今年が4度目だが、2017年と2019年は予選落ちを喫し、2018年は51位タイと振るわなかった。
「これまでの全英オープンでは成績が良くなかったけど、僕はクリエイティブなショットや小技を求められるリンクスコースが大好き。アイ・ラブ・リンクスだ!」
そんなデシャンボーの熱い想いは、果たして、リンクスの女神に届くだろうか。