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全英オープン優勝コリン・モリカワ(24)はなぜタイガー・ウッズを超えられた? 英国リンクスを制した「技術」と「勇気」【東京五輪も出場】
posted2021/07/20 06:00
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Getty Images
男子ゴルフの今季最後のメジャー大会、全英オープンは24歳の日系米国人、コリン・モリカワの優勝で幕を閉じた。
2019年にプロ転向したばかりのモリカワは、昨年、初出場にして全米プロを制覇し、この全英オープンも初出場にして勝利を挙げて、早くもメジャー2勝目を達成した。
異なるメジャー大会をどちらも初出場で制覇したことは、王者タイガー・ウッズも成し得なかった史上初の快挙だ。そんなモリカワの偉業を生み出したものは、何だったのだろうか。
「転がしがカギになる」
英国リンクスで戦う全英オープンは「転がしがカギになる」と言われる。100ヤード以内なら、球を高く上げず、転がしてグリーンに乗せることが多いのだが、グリーンの手前を遮るものが多いロイヤル・セントジョージズでは、転がすばかりではなく、球を上げてグリーンを狙うショットがしばしば求められる。つまりは、セカンドショット勝負のコースだ。
「狙えるスポットはベリー・スモール。その小さな小さなスポットを、どんなクラブで、どんなショットで狙うのか。狙い通りに打てるのか。ここでは、その技量と勇気が試される」
この地で開催された2011年の前回大会の際、全英オープンをこよなく愛するトム・ワトソンは、そう語っていたのだが、モリカワの強みは、まさにそのアイアンショットの技量と勇気だった。
英国のリンクスコースを前週のスコティッシュ・オープンで初体験したモリカワは、元々ツアー屈指のアイアンショットの精度を誇っているが、それでもグリーンを外した際の対策として、7番アイアンから9番アイアンまでの3本をグリーン周りの寄せに活用する独自の新たな攻め方を考え出し、彼なりに最大限、万全を期して初めての全英オープンに臨んだ。だが、自分で感じ取った以外の情報は、自分自身の脳内の混乱を防ぐ意味で、あえてすべてシャットアウトした。
「自分の五感だけを頼りにプレーする。クリエイティブなゴルフが求められる全英オープンがとても好きになっている。4日間が楽しみでたまらない」
開幕前からロイヤル・セントジョージズにも全英オープンにもそんなふうに好意を寄せていたモリカワは、初出場ながら優勝争いに絡み、最終日を最終組で迎えた。