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賞金アップも厳しい制限に不満が続出…松山英樹を含む17名が欠場の全英オープン、注目は“渦中”のあの人?
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2021/07/15 06:01
メディアとのいざこざの中、ロイヤル・セントジョージズにやってきたデシャンボー(左)とミケルソン
ロイヤル・セントジョージズは1887年に開場された古いリンクスコースで、スコットランドではなく、その南側のイングランドに位置している。
「スコットランド風のゴルフがイングランドでも味わえるコース」と謳われ、1894年にイングランドで開催された初めての全英オープンの舞台が、このロイヤル・セントジョージズだった。
この地で全英オープンが開かれるのは今年が15回目。過去の優勝者は、ハリー・バードン(1899年、1911年)やウォルター・ヘーゲン(1922年、1928年)、サンディ・ライル(1985年)、グレッグ・ノーマン(1993年)など名手が揃っている。
その一方で、21世紀には、びっくりするような優勝者が生まれてきた。2003年大会では、世界ランキング396位(当時)だったベン・カーチスが驚きのメジャー初優勝を飾った。
2011年大会では、長らく成績が低迷していた42歳(当時)のダレン・クラークが突然、水を得た魚のように好プレーを披露し、がんで亡くなった愛妻ヘザーに勝利を捧げた。
その10年前のロイヤル・セントジョージズで、クラークから3打差で2位に甘んじたのは、ダスティン・ジョンソンとフィル・ミケルソンだった。
ミケルソンも騒動の最中「僕に対する愚弄だ」
今年5月の全米プロを50歳で制し、メジャー史上最年長優勝を達成したばかりのミケルソンは、今大会では優勝予想では上位に位置付けられていないが、注目度ではデシャンボーに勝るとも劣らない。
すでに51歳ながら「今、抱いている自信は、2013年の全英優勝のとき以来の高いレベルにある」と、実に威勢がいい。
デシャンボーが突然のキャディ交替劇でアタフタしていたロケット・モルゲージ・クラシックでは、ミケルソンもテキサス州ダラスの地元紙の記事に不快感を露わにするなど、騒動の最中(さなか)にあった。
20年以上も昔のギャンブルにまつわる話に「僕が必死にスケジュールをやりくりして、せっかくダラスの試合に出ているというタイミングで、あえて面白おかしく記事にするのは僕に対する愚弄だ。もう、僕は二度とダラスには戻ってこない」。
そう言い放ったミケルソンをダラスのファンはあの手この手でなだめすかし、「また来てね、フィル!」とユーモラスに訴えかけた。「フィルは神様です!」と記したお揃いのTシャツを着て観戦するギャラリーの姿を目にしたときは、ミケルソンも思わず笑顔になった。