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「竜青さんは外れてしまったので」渡邊雄太が見せるキャプテンシーの凄み…“ラストピース”馬場と八村が加わっても忘れてはならないこと
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJIJI PRESS
posted2021/07/16 11:00
7月9日に行われたベルギー戦の第1クオーターにてドリブルを仕掛ける渡邊雄太
「今回は竜青さんは外れてしまったので」
実は今回のオリンピックに向けては、プレー以外の面でも不安の声は挙がっていた。現在のラマスHCが就任してから多くの試合でキャプテンを任されてきた篠山竜青が、メンバーから落選していたからだ。その存在の大きさを分かっているから、渡邊は偉大な先輩の名前を自ら挙げて、責任感を語った。
「キャプテンシーの部分に関しては、この2年間で成長したところをしっかりとみせないといけないと思っていました。特に……2年前のW杯では竜青さんがそういう声をだして、盛り上げるポジションにいてくれたんですけど、今回は残念ながら竜青さんは外れてしまったので。僕が、プレーでも引っ張っていかないといけないし、声の部分でも引っ張っていかないといけない。そこは意識的にやっていた部分がありました」
ただ、キャプテンとしての仕事を意識するあまり、空回りするケースは多い。あるいは、キャプテンとしてバランスを意識しすぎてしまい、無難なプレーに終始してしまうなんて例も……。
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しかし、そんな心配は無用だった。渡邊がこの3試合で残した特筆すべきコート上でのパフォーマンスは以下の通りだ。
ハンガリー戦: 25得点(チーム最多)、 4アシスト(最多タイ)
ベルギー戦: 16得点(最多タイ)、 4スティール(最多)
フィンランド戦: 17得点(最多)
渡邊は胸を張る。
「自分の所属するラプターズのチームメイトのリーダーたちを見てきて、どういう風にやらないといけないのかは1年間しっかり勉強させてもらったつもりなので。このチームでは自分がそういう役割をしないといけないという気持ちを持って、沖縄に入ってきました。その準備ができていたから、空回りなどしなかったのだと思っています」
世界との“差”を痛感したリオ五輪最終予選
もちろん、渡邊が入念に準備してきたのはメンタル面だけではない。6月に行なわれた代表戦6試合の映像だけではなくチームの練習の映像までチェックするほどの徹底ぶりだった。
彼を突き動かすのは、日本代表としての自覚と責任に他ならない。
その源流に想いをはせるとき、思い出すのは5年前のこと。比江島が口にしていた、セルビアで行なわれたリオデジャネイロオリンピック最終予選だ。