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《グレイシーハンターが52歳に》ファンを救った桜庭和志「プロレスラーは本当は強いんです」発言の真意とは? 

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photograph byYukio Hiraku/AFLO

posted2021/07/14 06:00

《グレイシーハンターが52歳に》ファンを救った桜庭和志「プロレスラーは本当は強いんです」発言の真意とは?<Number Web> photograph by Yukio Hiraku/AFLO

伝説として語り継がれるPRIDE GPのホイス・グレイシー戦。無制限完全決着ルールで見事に勝利した

<名言3>
このまま首を取りにいくよりも、殴ったほうが盛り上がるよな。
(桜庭和志/NumberWeb 2018年10月11日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/832107

◇解説◇
 これは、桜庭・所英男・中村大介の3選手が映画の声優に初挑戦したことを契機に実現した鼎談で発せられた言葉だ。

「魅せる・伝える」ことにおいて、格闘家として意識していることは?と問われた桜庭はリング上での心理状態を教えてくれた。

「お客さんを盛り上げることは意識してますね。ある技をかけて、お客さんが盛り上がったら、同じ技をかけたりする。勝負にこだわって、『相手をどう騙そうかな』と考えながらも、耳ではお客さんの反応を聞きながらやっているつもりです」

 桜庭の背中を追いかけてきた所は、自身も同じ思いだとしながらも、「やっぱり桜庭さんみたいにはできないですよね」と尊敬の念を示す。

「プロレスの経験もありますからね。例えば、都内のお客さんならば、地味な技でもわかる人が多い。でも地方の場合は、もうちょっとわかりやすい技を増やすとか。昔は、地方での総合格闘技の試合で寝技ばかりかけても、なかなか盛り上がらなかった。じゃあ、『もうちょっと打撃技を多くした方がわかりやすいかな』とかって、考えながら試合をしていました。コンマ何秒の世界ですね」(桜庭)

 続けて桜庭は2001年3月25日『PRIDE.13』のヴァンダレイ・シウバとの初対戦を振り返った。

「ヴァンダレイ・シウバと初めて試合したときも、一発、どんってパンチが入って。『あれ? 入っちゃった』と。そのまま組み付けば、首を取れたのよ。でも、会場がドッカーンって沸いているから、『これ、このまま首を取りにいくよりも、殴ったほうが盛り上がるよな』って思って。その隙にヴァンダレイが離れちゃって。殴りに行ったら、逆に捕まってボコボコにされました(笑)」

 この大会から解禁となった“サッカーボールキック”を浴び、シウバにTKO負け。桜庭の「魅せる」意識が敗戦につながったとは何とも皮肉な話だ。しかし、その姿こそ、多くのファンが望んでいるファイター桜庭和志でもある。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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