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「大谷翔平=(イチロー+松井秀喜)×2」と絶賛する専門家も… 全米が騒然となった“24歳時の曲芸打ち”と芸術的ホームランとは
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2021/07/08 11:04
2019年6月、当時月間自己最多となる9本目の本塁打を放った大谷翔平
最大の魅力は二刀流だが……
そして、その翌日。大谷は技と力を融合させる芸術の10号本塁打を中堅左へ叩き込んだ。
3回1死一塁。先発右腕アンダーソンが投じた92マイル(約148キロ)のフロントドア・シンカーは内角の膝もとに決まろうとしていた。
この難しい球に対し、最短にバットを出し、完璧なまでのインサイドアウトのスイングでバットをボールの軌道に入れるとそのまま中堅方向へ押し込んだ。大谷はこの一打をこんな言葉で振り返った。
「引っ張ってもいいですし、センター方向に打ってもいいのかなと思う。何がいいのかなというのは関係なく、いろんなアプローチがあっていいのかなと思います」
24歳にしてこのコメント。打者・大谷の現在地は既にイチローさん、松井さんを凌いでいると言うのか。
大谷の最大の魅力は二刀流であることは言うまでもないが、超一流の打者がひしめき合うメジャーの世界で、彼は既にその頂点の一角に君臨している。
果てしない可能性を持ち、想定を超える打撃術で魅了する大谷を見るに、打者専任へ導こうとする声が多くなるのも不思議ではない。恐れいる野球選手。それが大谷翔平なのだとつくづくと感じる。