この話が来た時、断る理由はまったくなかった

　大会メインイベントでは、LIDET UWFの中心選手として期待される伊藤貴則が新日本プロレスのSHOと対戦した。SHOもUWF初挑戦だ。伊藤の打撃に苦しむ場面もあったが、三角絞めで勝利。細かい攻防でもSHOがリードしていたと言っていいだろう。

伊藤貴則（左）とSHO（右）

　SHOも橋本と同じくレスリング出身。大学時代は副主将だったという。ブラジリアン柔術を学び、総合格闘技の試合に挑んだことも。伊藤はGLEAT創設の昨年からUWFに取り組み、配信マッチなどで経験を積んだ。しかしSHOは現時点での“UWFスタイルの能力”で伊藤を上回っているように見えた。

　相手の腕をたぐってバックにつく。相手が頭を下げたらがぶる。リストを取り、脇を差してコントロールする。そうした、組技における基本的な力が違った。下になっても柔術のガードポジションで相手に攻撃を許さず、下から関節技を狙う場面も。

　もちろん、今すぐ総合格闘技の試合をしてもハイレベルだと言うつもりはない。ただSHOが普段から意識して“そういう練習”をやっているであろうことは伝わってきた。

「自分にとっても大きなイベント。この話が来た時、断る理由はまったくなかったです。勝とうが負けようが、絶対に今後の自分のためになると」

　試合を前に更新されたポッドキャストで、SHOはそう語っている。UWF系団体や総合格闘技の試合で長くレフェリーを務める和田良覚が試合をさばくことにも「個人的にテンション上がります。勝って手をあげてもらいたい」と言っていた。

地力を見せたSHOは三角絞めでフィニッシュ

「いつ何時、どんなルールでも闘う」（SHO）

　試合後には、UWFスタイルの闘いについてこうコメントしている。

「俺がやることはただ一つ。相手が新日本だろうが他団体だろうが、どんなルールだろうが相手を倒すだけ。自分はいつも新日本プロレスで強い先輩たちとやってますし、自分より強い先輩が何人もいます。いつも通り試合しただけです。いつ何時、どんなルールでも闘う。その気持ちで新日本でやっているので。ただGLEATに参戦させていただいて、2021年にここに参戦してよかったと、何年経っても思い返すでしょう。そういう気持ちで挑みました」

【次ページ】　「いつか田村さんと同じ赤いコスチュームを」