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「ベルマーレのビール、作ってくれませんか?」クラフトビール醸造所がJ1スポンサーに… 人気爆発のきっかけはFC東京サポだったワケ
posted2021/07/10 11:01
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
1994年の酒税法改正により、日本各地でビールが作られるようになった。
製造免許取得の条件が、それまでの年間最低2000キロリットルから60キロリットルへと大幅に引き下げられたからだ。地ビールと呼ばれたそれは、日本酒のようにその土地ならではのものとして地元に受け入れられ、旅行客にも現地の味、そしてお土産品として好評を博した。
現在、地ビールではなくクラフトビールという言葉が多く使われるようになった。カタカナの方が若い世代にウケが良いことや、一気に全国に広まったことによる弊害として散見されたクオリティの低さという悪いイメージを引き摺らないようにしたこと、ご当地モノという物珍しさ先行の存在に収まらないようにしたい――その理由は様々だ。
そして最近、そんなクラフトビールとJリーグのクラブが結びつくようになっている。
Jクラブとブルワリーのタッグは急速に広がっている
まずタッグを組んだのは2009年の湘南ベルマーレとサンクトガーレンブルワリー(以下サンクトガーレン)で、長らく「ベルマーレビール」(同社の商品「湘南ゴールド(フルーツビール)」のオリジナルラベル)を提供していたが、昨年10月から「ベルマーレIPA(ブリュットIPA)」という完全オリジナルビールも登場した。
2012年にはブラウブリッツ秋田(当時はJFL)が田沢湖ビールとコラボ商品「ブラウブリッツビール・夢(ピルスナー)※オリジナルラベル」を販売したこともあるが、地元のブルワリーと組むケースはここ3年で急速に広がりを見せている。ベルマーレ以外だと、J1、J2クラブとブルワリーのかかわりは以下の通りだ。
ジェフユナイテッド市原・千葉
(幕張ブルワリー「JEF UNITED BEER」ペールエール※「幕張ペールエール」のオリジナルラベル、チーム30周年記念)
FC東京(T.Y.HARBOR「F.C.TOKYO BEER in AO-AKA PARK」ジューシーIPA)
東京ヴェルディ(OGA Brewing「1969BEER」セッションペールエール)
川崎フロンターレ(東海道BEER川崎宿工場「FRO AGARI YELL」ハーブエール)
横浜FC(横浜ビール「Under The Sky Beer~SUNNY Session IPA~」セッションIPA)
湘南ベルマーレ(サンクトガーレン「ベルマーレビール」「ベルマーレIPA」)
清水エスパルス(AOI Brewing※コロナ禍の影響を受けて今年倒産。「S-PULSEエール」(セッションペールエール)というチーム公式クラフトビールを醸造、販売していた)
セレッソ大阪(Derailleur Brew Works(以下ディレイラ)「HIGH KICK ASS」IPA、「HAT TRICK BERRYZ ROYALE」フルーツセッションエール)
ファジアーノ岡山(宮下酒造「ファジビール」ピルスナー)
愛媛FC(DD4D Brewing「CATCH THE VICTORY」ペールエール、「FEEL THE WIND」ゴールデンエール、「FIGHT TOGETHER」ヘイジーIPA))
ちなみに、ベアードビールがJ3のアスルクラロ沼津のオリジナルラベルで販売したり、JFLの奈良クラブが奈良醸造とのコラボレーションでオリジナルビール「NARACLUB YELL ALE(ジャーマンエール)」を販売したり、川越市社会人2部リーグにはCOEDOビールがトップパートナーのCOEDO KAWAGOE F.Cというクラブがあったり……と、この流れは今後も広がりを見せそうだ。