岩本さん：ちょうどJリーグのスポンサーからサントリーが外れたタイミングだったんです。ベルマーレ自体にはキリンがスポンサーになっていますけど、キリンビバレッジ（キリンビールではない）なので大丈夫、ということでベルマーレが入れてくれたんです。

　ただし、2年目くらいまでは出店できないタイミングもあったそうだ。ただ、サポーターからの信頼を徐々に得ていたことを岩本さんは実感していた。

岩本さん：そういう時に、お客さんが「（ベルマーレビールが）なんでないの？」と直接言ってくれたんです。それは非常にありがたかったです。今も不安ですよ。うちのボトル（ベルマーレビールとベルマーレIPA）にはJリーグのライセンスマークが入っているんですけど、あれは毎年更新なんです。だから、もし大手がJリーグのスポンサーになったらどうなっちゃうのかな、と。

FC東京のサポの人たち、凄いですよね

　しかし今では、ベルマーレの試合にサンクトガーレンブースあり、ということはアウェイサポーターにも認知されている。ファン・サポーターの直接の声が持つ力は大きい。

withキングベルパーク

岩本さん：正直な話、ベルマーレビールの認知拡大のきっかけはFC東京のサポーターですよ。あの人たち、凄いですよね（笑）。

　各地で名物を食べ尽くすことから、ネット上で“蝗”とも呼ばれる彼らの食への欲求はここでも凄まじかった。

岩本さん：リッター数のカウントを始めたのも、FC東京の方がたくさん飲んでくれた後から始まったんですよ。当時、うちのビールは神奈川よりも東京のビアバーでの取り扱いが多くて、FC東京のサポーターの中に「いつも飲んでます！」と知ってくれていた方が何人もいらっしゃったんです。その方たちをきっかけに“何かこのビール美味しいらしい”と広まって、気が付いたら青赤ユニフォームの大行列が出来ていました。その列を見たベルマーレサポーターの方も「実はこのビールすごいんじゃない？ 飲んでみようか？」と。そしてSNSでの盛り上がりを見た他チームのサポーターの方も……そうやって徐々に消費量が上がっていきました。

　しかし、実は最多消費記録なのはFC東京戦ではない。FC東京戦の最高記録は740Lを消費した2019年3月2日。これは歴代2位だ。1位の消費量はなんと915Lで、対戦相手は徳島ヴォルティス。2019年12月14日、J1参入プレーオフでのことだ。この試合はサンクトガーレンスペシャルデーと冠して行われた。シーズンのスポンサーとは別にマッチスポンサーになったのだ。その経緯を聞くと、岩本さんは笑った。

サンクトガーレンマッチ 2019年12月14日 徳島ヴォルティス戦

岩本さん：プレーオフはリーグ戦のようにマッチスポンサーが決まっているわけではなくて、試合があるかどうかもわからないし「こんな話ができるのは岩本さんだけだ」ってお願いされたんです。決して安くないものですし、うちもあまり業績が良くない時期で……でも、まぁいいか、と。やりましょう、と。

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