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大谷翔平、3戦連発のち7失点KOも黒星つかず… 黒田博樹「怖くて仕方なかった」、田中将大も戦ったヤンキースタジアムの魔性
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byMary DeCicco/Getty Images
posted2021/07/01 17:01
1回持たず今季最短KOとなった大谷翔平だが、バットでリベンジできるか
ヤンキースタジアムで黒星つかず……大谷の“幸運”
<名言3>
楽しいから悔しくないわけじゃないし、悔しいから楽しくないということでもない。
(大谷翔平/Number989号 2019年10月31日発売)
◇解説◇
ヤンキースタジアムで投手としては痛い目に遭った大谷だが、前日と前々日にはバッターとして驚愕の結果を残した。28日には先制26号ソロを放つと、翌29日には27、28号と今季3度目となる3試合連続本塁打をマークした。特に29日2本目の28号は、角度18度とホームランになりにくい低弾道ながら、打球速度181kmという超高速ライナーでスタンドインするという仰天の一撃だった。
30日終了時点で、大谷の成績は以下の通り。
2021年:打率.277 28本塁打 63打点 11盗塁 OPS1.045
強打者の指標OPSは「.900」を超えると一流打者とされるが、それを上回る「1.000」超えという驚愕の数字だ。過去3シーズンの「打撃の最終成績」と比べてみると、今季の大谷のすさまじさが分かる。
2018年:打率.285 22本塁打 61打点 10盗塁 OPS.925
2019年:打率.286 18本塁打 62打点 12盗塁 OPS.848
2020年:打率.190 7本塁打 24打点 7盗塁 OPS.848
シーズン折り返し地点でありながら、ほぼすべての数字でMLBにおけるキャリアハイをマークしているのだ。喜怒哀楽をグラウンドではっきりと表現する大谷だが、興味深いのは2019年の成績についてのコメントだ。
「去年よりも数字は下がっていますけど、それが成長に繋がっていないということではなくて、むしろよくなっていると思っているんです」と、大リーグの戦術にも対応できていると手ごたえをつかんでいた。
また、バッター視点で「こういうピッチャーを目指すのがいいのかな」と思う機会もあったと、学ぶ視点を常に持ち続けているのも大谷の魅力だ。
30日の登板では悔しさを味わったものの、大谷は“持っていた”。雨天中断を挟み乱打戦となった試合は、4点差の9回にウォルシュが相手守護神チャップマンから起死回生の同点満塁弾を放つと、さらに2本のタイムリーが生まれて11-8でエンゼルスが劇的な逆転勝ち。大谷に黒星がつかなかったのだ。
そして二刀流だからこそ、ヤンキースへのリベンジのチャンスがすぐにやってくる。4連戦の最終日となる1日は、デーゲーム開催だ。打者として再びニューヨーカーを黙らせる活躍を見せられるか。