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あれは運じゃない…渋野日向子の“成長”を感じた2ホールとは? 突然のキャディ交代に涙も最後は笑顔「全部ここで吐き出せた」
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2021/07/01 11:02
約3カ月に及ぶ海外遠征の集大成となった「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」。40位タイと結果は振るわずも、ここで得た経験を日本での戦いに生かす
渋野も3日目に同組となったコ・ジンヨンのプレーに刺激を受けていた。
「(パッティングで)上りの真っ直ぐのライン(難易度の低いライン)につけることが多かったので、やっぱりそういうことを計算してショットをしているのかなと私は捉えました。本当に彼女のショット力とマネジメントはすごいなと。かなり頭を使っていると思いますし。全てにおいて上手いというイメージがあるので、やっぱりそういう選手にならないといけないなと思います」
前述した予選突破を手繰り寄せた2日目の18番第2打は、当初は池の手前に刻むことを想定していた。結果オーライの池越えのショットでイーグルパットを決めたが、それを想定する練習もこなしていたら、もうちょっと気持ち的にも準備が出来たかもしれない。
何シーズンか米ツアーを経験すれば、それをもとにピン位置の予想などが可能になる。そうすればコースマネジメント力が身につき、必然的に練習の質が上がる。
全米女子OP王者も苦しんでいる
その「慣れ」で苦しんでいるのは渋野だけではない。事実、昨年の全米女子オープンの覇者キム・アリム(韓国)は、今季10試合のうち5試合で予選落ちと苦戦中だ。「まだアメリカに慣れてない感じがします」と片平は指摘する。
ルーキーや経験が浅い選手は、難コースに向けてより練習に熱が入るため、疲弊して試合で力を発揮出来ないことが多いという。また、予選落ちが続くと、来年のシード権のことが気になり、自分らしいゴルフよりも守りに入るべきかと迷いが生じることもある。そういうジレンマを乗り越えるためにも「慣れ」が絶対的に必要なのだ。
今回、スポット参戦である渋野にはそのプレッシャーはなかった。失うものはない分、失敗を恐れず、思いっきりプレーが出来たとも言える。
「悔しいことの方がたくさんあったんですけど、やっぱりこの1週間の自分を考えると今までの悔しさが全部消えていくような感じというか。まあ、いろいろとたまっていたものが、全部ここで吐き出されたなという内容のゴルフだったと思います。今週のようなゴルフができていけば、次に米国に来る時には、もっと戦えているんじゃないかなと思うので、しっかりと、この良かったところ、悪かったところを復習して、次に向けて頑張りたいなと思います」