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あれは運じゃない…渋野日向子の“成長”を感じた2ホールとは? 突然のキャディ交代に涙も最後は笑顔「全部ここで吐き出せた」
posted2021/07/01 11:02
text by
南しずかShizuka Minami
photograph by
Shizuka Minami
KPMG全米女子プロゴルフ選手権の2日目。渋野日向子は予選通過できたことを喜んだ。
「いやー、緊張したー。ハハハ、良かったー」
渋野は17番でバーディ、18番でイーグルを決めて予選カットラインである2オーバーに潜り込んだ。その直前の16番でボギーを叩き、5オーバーまでスコアを落としており、予選通過できるかというプレッシャーがかかる中で3つもスコアを伸ばした。
渋野は18番イーグルにつながった2打目の池越えショットについて、「めっちゃギリギリでした。マン振り(フルスイング)して、まあまあ良いあたりしたんで。フォロー(追い風)がなかったら、狙えてないし」とその心境を振り返ると、3打目となるイーグルパットについては「読み切ったというか、もうヤケクソ」と自虐的に笑った。
「あの2ホールは運じゃない」
だが、周囲の見解は異なる。元アマチュア世界ランキング1位で、同大会を放映したWOWOWのラウンドレポーターを務める片平光紀は、この“ラスト2ホール”に、今回の海外遠征の集大成を見たと評価する。
「あの2ホールは運じゃないです。練習の成果です。渋野選手はスイングを変えているところです。普通、スイングを変えようと思った時、スイングの練習をする分、アプローチやパターの練習量が足りなくなることがあるんです。渋野選手の場合、そのスイングもそうですけど、パター、アプローチの技術も進歩を見せているので、相当練習しているなと思いました。だからプレッシャーがかかった時に、しっかり振り切れる。勝負どころで入れてくることが出来たと思います」
渋野は最終日に「67」と持ち直したものの、3日目のブレーキが響いて1オーバーの40位タイ。5位以内に入れば東京五輪代表の座を狙えた試合だったが、悔しい結果に終わった。最終日の試合後、この3カ月に及ぶ海外遠征で成長した部分を問われた渋野は「成長……ないっすね」と肩を落とした。
ただ、片平は収穫もあったはず、と語る。