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米100万人が熱狂 “モンスター”井上尚弥「ドネアとカシメロ、どっちと戦う?」「日本開催はあり得るのか?」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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posted2021/06/28 17:04

米100万人が熱狂 “モンスター”井上尚弥「ドネアとカシメロ、どっちと戦う?」「日本開催はあり得るのか?」<Number Web> photograph by Getty Images

6月19日、ラスベガスで行われたWBA、IBF世界バンタム級タイトル戦は、王者・井上尚弥(大橋)が挑戦者マイケル・ダスマリナス(フィリピン)に3回TKO勝利した

 ドネア対カシメロ戦はKO必至、文句なしの好カードではあるのを認めた上で、個人的な思いを述べるなら、できれば井上がその両者と戦うシリーズを順番に見たかったというのが正直なところだ。

ドネア「井上との再戦が実現することはわかっている」

 ワイルドなスタイルと度重なるトラッシュトークによって、カシメロは現代バンタム級最高のヒールの立場を築き上げた。2019年11月に井上と歴史的名勝負を演じたドネアは5月29日に、井上の実弟・拓真にも勝った実績があるノルディーヌ・ウバーリ(フランス)を4回TKOで一蹴して世界王座に返り咲いた。この2人は実力、キャラクターともにライバルとして申し分なく、両雄との連戦で井上が得るものは大きかっただろう。

 ただ、この2人のうちのどちらか1人となれば、対戦時によりドラマチックなストーリーになるのはドネアの方に違いない。宿命の再戦であり、新旧のスーパースター対決。2本ずつのベルトを持った者同士の4団体統一戦としてのリマッチはステージ的には最高であり、まるで映画や漫画のストーリーのよう。技術的にもしっかりした両雄の再戦は、内容的にも再び素晴らしい戦いになることはほぼ確実だ。

「私と井上の間には相互理解とリスペクトがあるのを感じています。尊敬し合っていますが、同時にもう一度戦いたいと思っているのです。カシメロ戦後、井上との再戦が実現することは私にはわかっています」

 そんなドネアの言葉は、井上と多くのボクシングファンの思いを代弁しているのではないか。そして、実際に8月14日はやはりドネアが勝ち残る可能性が高いと見る。もちろんカシメロの意外性は侮れないが、技術、経験の下地があり、バンタム級に下げてきた後、おそらくパワーでも上回るドネアは一枚上の実力者に思えるからだ。

最終決戦の舞台はやはり日本か?

 ともあれ、魅力的な役者がそろった世界バンタム級のバトルはこれから1年前後の間にクライマックスを迎える。メインキャストはほぼすべてアジア人の統一戦路線だけに、最終決戦の舞台はやはり日本か――。

 6月24日、ボブ・アラム・プロモーターは日本でビッグイベントが開催できる状況が整うまで、11月頃にもう1戦、井上にアメリカで防衛戦を消化させるプランも披露した。そんなアイデアまで含め、すべては4団体統一戦に向けたシナリオの一部となる。井上のボクシングキャリアのハイライトになる一戦はいつ、どこで、誰を相手に挙行されるのか。

 井上、ドネア、カシメロという現代バンタム級三強の動向から目が離せない。

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