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「足を引っ張ってしまって情けない…」 選考会2位で“ノーリアクション”、箱根駅伝3位のシーズン超えを狙う國學院大の今季
posted2021/06/27 11:01
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Satoshi Wada
6月19日の全日本大学駅伝関東地区選考会。
2位で本大会出場を決めた國學院大の選手たちに笑顔はなかった。結果発表を前に、マネジャーの手元の集計である程度は順位が分かっていたとはいえ、結果がアナウンスされた瞬間でさえも、ほとんどノーリアクションだった。
「正直、“ここで負けるようだったら、(シード権をもつ)上のチームにチャレンジできないと思うよ”って、選手たちには話していました。
スカウトもやっと好転し始めているので、本当はここでダントツを取りたかったんですけどね……。そんなに甘くないっすね」
悔しさを募らせていたのは、選手ばかりではない。指揮をとる前田康弘監督も唇を噛んでいた。今季は箱根駅伝総合優勝という高い目標を掲げているだけに、ここで足踏みをしているわけにはいかなかったのだ。
「私のミスだと思います。勝ったと思っていた」
ただ、確かに2位通過だったかもしれないが、選考会をトータルでみれば、敗れてなお強し、という印象を与えるには十分だったのではないだろうか。何より國學院大の選手の攻めの姿勢は印象深かった。
この選考会は10000mを各校8人が走り(1校2名ずつ4組でレースを行う)、その合計タイムを競うというもの。1つのミスが命取りになりかねないため、通過が確実視されている大学であっても、堅実にレースを進めることが多い。それでも、國學院大の選手たちは攻めた。
3組目を終えた時点で、國學院大はトップに立っており、2位の法政大には26秒差、3位の中大には56秒差を付けていた。通過圏内ぎりぎりの7位・東京国際大とは、実に1分49秒もの大差があった。
最終4組を任されたのは、エースの藤木宏太と、3月の日本学生ハーフで3位と奮闘した島崎慎愛の4年生コンビ。実力者の2人は計算が立つ選手だけに、留学生を擁するチームでも大差をひっくり返すことは容易ではない。この時点で國學院大のトップ通過は堅い、と思っていた人は多いのではないだろうか。前田監督の心中もそうだった。
「そこは私のミスだと思います。勝ったと思っていたので……。勝ち急ぎ過ぎました」