「TWOLAPS」では、練習メニューのベースは横田が作り、細部は選手と相談しながら詰めていく。練習当日の体の感覚、体調、今日の練習の目的を明確にして、本数などを調整していくのだ。

　レースではペースの変化、駆け引きもあるので、練習で横田が自ら引っ張ってくれることもあるという。週2､3回は強度の高いポイント練習があり、最近は午前中にこなすことが多い。卜部は早朝や午後にジョグを継続しており、1日10～12km、1日の走行距離は20～24km程度。大学時代は短い距離の練習が多かったが、TWOLAPSでは距離を踏むようになり、「それが1500mのタイムが伸びた一つの要因」と卜部は語る。

「普段の練習はクラブ、所属と駅伝は実業団」って？

　練習環境としては、恵まれており、結果も出ている。TWOLAPSは中距離を目指すランナーの憧れになりつつあるが、実は卜部は2020年1月から積水化学工業女子陸上部所属の選手でもある。

　横田が富士通時代の先輩でもある積水の野口英盛監督と相談し、新谷と卜部の五輪出場、クイーンズ駅伝の優勝などを目標に共闘しようとタッグを組んだ。普段の練習はクラブチーム、所属と駅伝は実業団という二足の草鞋を履く異色のスタイルが誕生した。

「会社に入る前、自分の大きなモチベーションになっていたのは結果や自己ベストの更新でした。でも、入社1年目の昨年に出場したクイーンズ駅伝の時、社員の方にすごく応援してもらって……。コロナで現地に来られないということで、メッセージカードやビデオメッセージをたくさんいただきました。一緒に喜びを共有してくれる人が増えて、それがすごくパワーになりましたし、みなさんの応援に応えたいという気持ちがすごく芽生えたんです。2区で区間賞を獲れたのも、自分の持っている力以上のものを皆さんの応援で引き出してもらったという感覚がすごく大きかったですね」

©Asami Enomoto

　積水化学のチームには、名古屋ウィメンズで2位になった佐藤早也伽、3000m障害で活躍する森智香子ら有望な選手が多い。普段は東京の世田谷と千葉の柏に分かれて練習しているが、駅伝の合宿では合流し、一緒に練習する。そのなかで得ることも多いという。

「自分よりも長い距離の種目、違う種目で活躍している選手をみるとすごく刺激を受けます。合宿で一緒になると、『こういうスピード練習はどうしていますか』という質問を受けたり、スピード練習で300mのインターバルをするとき、私は中距離でスピードが速いので『この本数をお願いします』など言われて、それぞれが得意なところで引っ張ったり……。私が皆さんの刺激になれているかどうかは分からないですが、切磋琢磨できる環境は良いなって思っています」

一発勝負の日本選手権「目標は1500mの優勝です」

　クラブチームと実業団のコラボという新しい挑戦のなか、“一発勝負”の日本選手権に向けて、いまも卜部は地道に調整を続けている。

　目標は1つしかない。

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