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恐怖の8番・DeNA大和が明かす“絶好調だけど…”「捉え方としては、2番から8番に落とされた感じなんです」
posted2021/06/18 11:04
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
KYODO
交流戦での成績は打率.306、打点14、OPS.874、得点打率.600。どこの強打者かと思いきや、この驚くべきスタッツを残したのは横浜DeNAベイスターズの大和である。
好打好守のベテランであることはご存じのとおりだが、このクラッチヒッターぶりに交流戦中は“恐怖の8番打者”と呼ばれた。
「すべてはあれですね、オリックス戦で山岡(泰輔)投手から打ったホームラン。あそこで放った打球の方向だとか、いろいろ吹っ切れた部分があったんですよね」
大和は5月25日から始まったセ・パ交流戦、オリックスとの初戦を振り返った。2回裏の第1打席、山岡の5球目、高めに甘く入った145キロのストレートを強振すると、ふわりと上がったボールは横浜スタジアムのレフトスタンドぎりぎりに飛び込んだ。しっかり引っ張り切れた感触が手に残っていた。
「そこまでどちらかというと反対方向(ライト方向)ばかり考えてバッティング練習してきたんですけど、やっぱり自分の特徴を考えると引っ張った方がいいし、無理に反対方向に打つことはないのかなって」
佐野恵太のバッティングを参考にして
じつは大和は昨年後半、キャプテンである佐野恵太のバッティングの感覚を参考に新境地を切り拓いていた。
佐野から言われたのは「回転するイメージ」。体が開いてしまうことに悩んでいた大和は、遠心力を活用することでミートの瞬間にだけ力を入れることを首位打者になった後輩から学んだ。回転して上から叩く感覚でバッティングをすると逆方向にいい当たりが出始め、感覚を掴んだ昨季後半の10・11月は打率3割後半をマークするほどだった。
だが、そう簡単に行かないのがバッティングであり、決して飼い慣らすことのできない魔物である。春季キャンプに入ると、大和は掴んだと思っていた感覚を失っていた。
「昨年は“背中で打つ”イメージだったのですが、それがキャンプから上手く行かず、ずるずる引きずるように開幕を迎えてしまった。結局、シーズンが始まってからも好転することなく……」
開幕から大和の打撃は低迷し、打率1割台を行き来し、交流戦直前は.200だった。当然、なにかを変える必要があった。