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「自分では苦労したとは思っていません」“消えた天才”とも呼ばれた西武・岸潤一郎に高まる期待…昨年夏にアドバイスを求めた選手とは?
posted2021/06/18 11:02
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
KYODO
初対戦となる投手の初球を思い切り振り抜き、快音を残したかと思えば、あるときはゾーンぎりぎりの際どいボールを、平然と見送る。打席での様子はプロ入り2年目の選手とは思えない落ち着きぶりだ。
そのことを指摘すると岸潤一郎は苦笑した。
「落ち着いて見えますか? 全然です。毎回吐きそうです」
岸が1番に座るようになったのは6月2日からのことだ。それまでトップバッターとしてチームをけん引し、リーグトップの20盗塁を記録していたルーキーの若林楽人が5月30日の阪神戦で負傷交代。6月1日、岸は抹消された若林に代わって7番センターでスタメン出場を果たすと、7回にはプロ初ヒット初本塁打を記録。その活躍を認められ翌2日には1番打者に大抜擢されたのである。
「1番打者というのもですけど、やはり、気にしたくないけれど、結果は出したいと思ってしまうんで。また打てなくなったら二軍行きかな、とか。いろいろなことがあいまっての緊張感ですね。いい緊張感を持って打席に立っています」
昨季はわずか3打席だった
6月15日現在、29試合に出場。打率は2割3分5厘ながら、大事な場面でのヒットや勝負を決める働きで、強い印象を残している。
昨シーズンの一軍出場はわずか5試合、3打席だった。
「昨年はチャンスをもらえても、それを生かせられなかった。だから今回は何としてもという気持ちです。まだ、いただいたチャンスをつかもうとしている途中です」
昨シーズン、若手の外野手が一軍で活躍する中、どんな思いで練習に励んでいたのだろうか。