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5年前のEUROヒーローは今<若手編> 当時18歳レナト・サンチェスはフランス経由で復活、ポーランドの新鋭は…
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/06/17 17:04
EURO2016で大活躍したレナト・サンチェス。5年後の今はどんな感じ?
18-19シーズンに戻ったバイエルンは、その間にハメス・ロドリゲス(ローン加入)、レオン・ゴレツカを獲得しており、すでにサンチェスには居場所がなかった。加入初年度と同じくリーグ戦17試合出場のほとんどはベンチスタートだ。
再起を図ったフランスで見事に復活
2019年8月、ヘルタ・ベルリンとの開幕戦で85分から途中出場した数日後に、リールへの完全移籍を発表した。
ヘルタ戦後には「がっかりしている。クラブが放出を認めてくれなかったのはこれが2回目だ。5分(の出場時間)だけじゃ足りない」と不満を漏らしていた中、フランスで再起を図ることになる。
リール移籍1年目には公式戦21試合に先発出場。このシーズンだけでバイエルンでの先発出場回数と総出場時間を上回った。
そして昨季、最終節までもつれる優勝争いで絶対王者のPSGをかわし、10年ぶりのリーグ優勝を果たした。
23歳にして栄光、挫折、復活すべてを経験した
昨年11月のインタビューで「バイエルンと契約したころより気分がいい」と語ったサンチェスは、その理由を「単純に多くプレーできるから。よりプレーできれば自信がつく。それがあの頃との違いだ」と明かした。確かに単純ではあるが、メガクラブでの競争に敗れた選手だからこそ言葉の重みがある。
タイトル獲得の一端を担い、自信を取り戻したサンチェスはEURO2020のポルトガル代表に選出された。初戦のハンガリー戦では81分から出場後にチームが3得点を挙げて勝利。自身も2点目となるPK奪取を演出するなど、短い時間で存在感を放っている。
現在23歳。栄光と挫折、復活をすべて経験するには若すぎるといっていいくらいである。
バイエルンへのステップアップが失敗に終わり、リールで輝きを取り戻したサンチェス。EURO2020で前回大会のようなパフォーマンスを見せたなら、ここからメガクラブへの再挑戦が待っているはずだ。
遠回り? とんでもない。栄光も挫折も復活も経験して初めて「レナト・サンチェス」は完成するのだ。
カプストカもまた5年前注目を集めた
サンチェスが鮮やかなミドルシュートで、代表初ゴールを決めたのは準々決勝のポーランド戦だ。その試合で82分から途中投入されたバルトシュ・カプストカもまた、EURO2016でメガクラブの注目を集めた選手だ。