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安田記念でダノンキングリーを“復活”させた萩原師はダービー馬もよみがえらせていた 「皐月賞は仕事として失敗してしまった」
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2021/06/11 06:00
安田記念で圧倒的1番人気のグランアレグリアにわずかに先着したのが、8番人気のダノンキングリーだった
ダノンキングリーを復活させても萩原師はおごらない
こうしてロジユニヴァースを復活させたのが萩原調教師なら、今回ダノンキングリーを蘇らせたのもまた同調教師だった。
ダノンキングリーは先述した通り昨年の天皇賞(秋)で最下位の12着に敗れていた。
「状態は悪くないと思っていただけにここまで負けたのは意外でした。本来の走りではなかったので、思い切って休ませる事にしました」
放牧した。その後、幾度かトレセンに戻したが「若い時に比べダメージが残る」との事でなかなか臨戦態勢が整わなかった。結果、再放牧を繰り返し、やっと「出走レベルの状態になった」のがこの安田記念だった。
「安田記念当日は今までの過程の中では最も良い感じでした」
調教師のその感覚に誤りはなかった。圧倒的1番人気のグランアレグリアを抑え、ダノンキングリーは自身初のGI制覇を飾ってみせた。
そんな見事な復活劇にも萩原調教師は笑う事なく、言う。
「調子を落としてしまったというのは、能力がある馬なのに力を発揮出来る状態を保てなかったという事ですからね。まずはそうならないようにしなければいけません」
勝利にもおごることなく改めて己を律する姿勢をみせた萩原調教師。新たなGIホースの今後が楽しみだ。